北海道放浪記'96 |
![]() 360度の展望 ![]() オロンコ岩から撮影 珍しく有料駐車場となっている 観光船は,知床岬まわり3時間45分,硫黄山まわり1時間30分で巡る。 知床岬には陸路がないのでこの観光船で景観を楽しむことができる。
【8月5日】 ウトロ温泉 朝,どうやら雨はやんだようだが,雲行きは依然としてあやしい。 ウトロ温泉のバスターミナルの待合室は綺麗だが,小汚い貧乏旅行の小僧どもがたむろしている。自転車旅行をしているようだがバスで湯の滝へ行くようだ。 08:55 ウトロ温泉発湯の滝行き(斜里バス) 登山するにはあまりにも遅い時間であるがこれが一番はやいバスなのでいたしかたない。 09:16 岩尾別温泉到着 登山の様子は「知床縦走記」を参照 【8月6日】 12:00 山から下りてきて湯の滝入口に到着。本来ならカムイワッカの湯の滝に浸かり汗を流すと最高なのだけど,大勢の観光客と一緒に入る気もしない。 バス停まで歩いていると一人の男性に声をかけられ,縦走のことを二三聞かれた。その後バス停でくつろいでいると,その男性が車で現れ,途中まで乗せてくれると言う。その人は羅臼まで行くらしく,僕は斜里駅までいくつもりだったので,途中の知床自然センターまで乗せてもらうことにした。車の中での話しによると,その人は福島の白河の人で,北海道には毎年来ているそうで,山や釣が目的だそうだ。特に山についてはかなりの達人で,知床の縦走で知床岬まで行ったことがあるそうである。食料も10日分くらい担いで行くそうで,あまり整備されていない北海道の山道で二三日迷ってもなんとかなるもんだと言っていた。 自然センターでパネル等を見学。登山情報やヒグマ情報もここで得られる。つい先日大雪山でヒグマがテントの食料をかっぱらったという新聞の切り抜きが出ていた。 時間があればフレペの滝遊歩道を歩きたかったけど,往復40分ほどかかるようなので,おとなしくバスを待つことにした。 13:36 知床自然センター発斜里駅前行き(斜里バス) 14:40 斜里駅到着 羅臼の山中で,明日の斜里岳はレンタカーで清岳荘へ乗り付ける事に決めた。その理由として,今夜は清岳荘(自炊寝袋持参の山小屋)へ泊まるが,そこまで@バスの登山口停留所から更に2時間歩くAタクシーで行く手もあるがレンタカーの料金とそれほど変わらないB帰りも駅まで早い。といったことがあげられる。 斜里駅前には日本レンタカーとトヨタレンタカーの営業所があることは一昨日確認している。その両方訪れたものの残っている車はないとのことであった。さすがにこの時期は予約をしておかないと借りられないのだろうか。もろくもレンタカー計画は頓挫してしまった。さあ困った, バスで登山口まで行くか,タクシーで清岳荘まで行くか,それとも斜里岳はあきらめて,明日泊まることにしている塘路湖のキャンプ場へ行ってしまうか,しばし悩んでいるうちに登山口行きのバスや塘路湖方面行きの列車は行ってしまった。(さっき乗ってきたバスと連絡していた)しかしながら,天気も悪いことだし,斜里岳は今回は登らないことにした。 次の列車の時間までは1時間以上ある。先ほど下山後に果たせなかった風呂に入るべく,駅前の観光案内所で銭湯の位置を訪ねると,温泉風呂が近くにあるという。地図にマーキングしてもらい,5分も歩くと目的のグリーン温泉は見つかった。料金の350円を支払い,中にはいると客は私と爺さんの2人だけ。湯は赤茶けており,鉄分のにおいがする。感触はぬるぬるしている。熱めの湯に浸かり,縦走の疲れを癒す。 16:40 斜里発釧路行き 18:53 トウロ着 無人駅の塘路駅に着いた時は既に薄暗くなっていた。一目散に塘路湖キャンプ場を目指す。早くテントを張らないと暗いと困難である。駅から一キロの道のりを標識に従い足早に歩く。湖横の最後の直線で,露出した足に蚊がまとわりつくのを感じる。やばい,山上のキャンプと違って下界のキャンプは蚊が出るんだ。虫除けなど何も用意していない。キャンプ場はかなりのテントで賑わっているが,かなり広いのでこの時間でも自分のスペースは容易に確保できた。ちょうど炊事場とトイレの間を選び,まとわりつく蚊と戦いながらも急ピッチでテントを設営。テントの中は暑いが,外だと蚊にやられるので,中で調理を開始。食事を終え,明日の行動を確認し,ラジオで興味のないジャイアンツ戦の中継を聞きながらくつろぐ。 テントの中での会話は外に筒抜けである。僕は不幸にも口数の多い野郎グループのテントの横に設置したものだから,彼らのくだらん会話を夜通し聞く羽目になった。 ![]() 釧路湿原国立公園塘路野営場 8/7 04:00 トウロキャンプ場 夜明けとともにキャンプ場にカラスの集団が集結。大合唱が始まった。すっかり目が覚めてしまい,外に出て洗顔。うーんやっぱり天気は良くない。斜里岳をオミットしたのは正解だったか。朝食を終え,テント撤収。そこで事件の発生に気がつく。なんとテントのピンペグが無くなっているではないか。昨夜間違いなくフライの張り綱を固定するために設置したものである。地面を注意深く探したものの,単に張り綱が外れたのではなく,明らかに人為的に抜かれている。ついにやられたか。山中のキャンプと違って便利なキャンプ場は心ないものが多いものだ。これと同じピンペグは専門店でも滅多に売られていないだけに余計悔しい。 06:43 トウロ発釧路行き 一番列車であるが乗客は結構多い。観光客ばかりではない。 06:55 釧路湿原到着 夏にのみ停車するこの駅は,周りに何もないので納得できる。この時降りたのは僕一人であった。展望台へ向かうと観光客は結構多い。近くに駐車場があったり釧路からの一番列車がすでに通過した後だからであった。 ![]() 無人駅ではあるが駅舎は観光客相手の売店となっている。この時間はまだ営業が始まっていなかった。 釧路湿原
![]() 熱気球フライト 地上50メートルから湿原のパノラマを見渡す 実施期間:7/7・14・20〜8/25 実施時間:朝7時〜12時 搭乗料金:大人1400円,子供600円 搭乗場所:釧路湿原駅から徒歩4分 (JR北海道のパンフレットより) 07:55 釧路湿原発釧路行き 釧路本線は本数が少ない。2番列車がくるまでに十分湿原の展望は楽しめた。引き続き釧路へ行くのだけど,この後の予定は全くの未定,斜里岳を省略したため,一日ずれている。フェリーの出航は明日だが今日の宿は当てがない。釧路に行けばホテルくらい空いているだろうとたかをくくって列車に乗り込んだ。 08:14 釧路到着 とりあえず装備を大型のコインロッカーへ入れて,サブザックで市内観光へ繰り出すことにした。車内で読んだガイドブックでは釧路にはたいした観光地はなかったが,釧路市立博物館が唯一興味を得たので,そこへ行くことにする。その前に駅前のホテルに入り空室を訪ねると,全く空いていなかった。まあ駅の中に観光案内所があり宿泊所の斡旋もしているので戻ってからそこへ行くことにした。 【釧路博物館チケット】
路線バスで市立病院前で下車し,少し歩くとちょっと変わったデザインの建物があり,それが博物館。中世ヨーロッパの古城を思わせるデザインだそうだ。開館まで20分程時間があったけど,入館することができた。この手のお役所的施設にしては極めて異例の計らいであった。 入場料360円を払ってさっそく中へ。1階は釧路の大地,生物,海で,各種標本を展示。さりげなく置かれているシロナガス鯨の顎の骨は4階まで吹き抜けのフロアーに立てており,その大きさは圧巻であった。 2階は釧路の先史時代と近世と近代。黒曜石の矢尻や石器,土器などが整然と並べられている。大漁旗や川崎船,霧笛などを展示。 3階は吹き抜け。4階はサコロベの人々とタンチョウ。湿原とタンチョウの実物大のジオラマは良くできている。 博物館を出て,釧路駅まで歩くことにした。4km程の道のりである。これからの行動を考えながら歩いた。これ以上釧路市内を観光するところもなさそうなので,このまま飛行機で帰ってしまおうか。時間的なことや経済的なことを考えて,どうやらその方が良さそうである。気持ちはほとんどそのように傾いている。 旧釧路川に架かる幣舞橋からフィッシャーマンズワーフが見える。グルメ,ショッピング,レジャーを中心とする都市型観光施設であるが,興味はない。 更に駅に向かって歩いているとJTBがあった。なにげに入って今日の羽田行きの空席状況を訪ねると,どの便でも乗れるとのことであった。躊躇することなく,3時間後の便のチケットを買うことにして,北海道の旅は終わることになった。 ![]() 参考文献 釧路観光協会発行 300円 これ一冊で釧路の街を知ることができる。 釧路駅のキオスクで購入 14:00くらい 釧路空港到着 最近国内の空港はどこもリニューアルしている。この釧路空港も例外ではなく,真新しいターミナルで,滑走路もいまだ工事が続いている。道内では千歳,函館につぎ3番目の乗降客数で86万人(平成5年)を越えているそうだ。ちなみに釧路の人口は20万人足らずである。 ターミナルは売店が充実しており,搭乗までの時間で見て回った。 14:35 JAS136便出発 16:15 羽田にはあっと言う間に到着。行きは3日かかった割に,帰りはわずか2時間足らずであった。東京は思ったより涼しかった。横浜にはリムジンバスで帰ってきた。 おしまい |
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