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日本百名山

白峰三山縦走(北岳,間ノ岳,農鳥岳)


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日程 1996年07月18日〜21日
山名 北岳,間ノ岳,農鳥岳
山域 南アルプス
入/下山地 広河原/奈良田温泉
メンバー 岡本,福島


7/18
[八王子〜甲府〜広河原]
 同行のDAYさんとは八王子駅で待ち合わせをした。21時半に僕が着いたときにはDAYさんはすでに到着していた。
 通勤客でごった返す八王子駅では,高尾行きの列車への乗降が多い。我々の乗る小淵沢(?)行きも満員であった。

【甲府駅コンコース】

 甲府駅には23時27分に到着。登山口まで行くバスが6時発なので,それまで駅で仮眠と取ることになってる。すでに10人余りが駅のコンコースでシュラフの中にくるまっている。空いたスペースにザックを降ろし,駅前の散策に出かけた。駅前のローソンが24時間営業であることを確認し,明るくなってから朝食を買い求めることにする。
 駅に戻り,広げたマットの上で横になる。シュラフにはいるには余りにも暑い。甲府駅のコンコースは24時間照明が消えない。人通りも多く,なかなか寝付けなかった。


 6時発の広河原行きのバスには,どこからともなく現れたおばさん連中にあっと言う間に席を奪われたが,何とか残った席に座ることができた。平日ではあるが,座れない人も数名いた。
 途中バスは,夜叉神で休憩。ここでは三分の一ほどの乗客が降りる。8時少々前にバスは終点手前の広河原に到着。アルペンプラザの前の水道で給水を行う。このときDAYさんが一眼レフのカメラの電池切れに気づき,悔しそうにしている。

【広河原登山口】

[広河原〜北岳山荘]
 準備を整えいよいよ出発。少々眠いが体調は万全。吊橋の手前で記念写真。
 北岳までは大樺沢のコースをとる。このコースは北岳バットレスの眺めが良く,雪渓が真夏でも残るため水の心配がいらない。前回この大樺沢を登ったときは,照り返しで火傷を負ったものだが,今回は晴れてはいるものの真夏特有の雲が多いので,ひどく焼けることはないようである。それでも登っていると暑いが,雪渓を吹き下ろす風は涼しくて心地よい。


11:20 雪渓脇の夏道の木陰で昼食。僕はラーメン,DAYさんはスパゲッティーというメニュー。
 昼食を終え,歩き出して数分でに突然スコールが襲ってきた。急いで雨具を身につけザックにもカバーを取り付けるが,ザックにはマットやら三脚などをくくりつけているので,カバーの中に収まりきれない。雷も来ているため,しばらく雨のやむのを待つことにする。
 30分ほどで雨はすっかりやんで,空は再び青空を取り戻しつつある。急坂が続き,ペースが落ちてくる。

【北岳バットレス】




【イワカガミ】




 吊尾根分岐に到達するやいなや無性に眠くなり,ザックを下ろし横になって一眠り。追いついてきた他のパーティーの声で起きだし,連れだって北岳をめざす。
 ここから北岳まで尾根道のピストンなのでザックを下ろし,カメラだけを持って向かった。

【日本第二の高峰北岳】

 北岳山頂(3192.4m)に到着。山頂ではわれわれ以外に吊尾根分岐から一緒になった2人組の中高年登山者だけである。この時間では北岳山荘の夕食にありつけないためか,他には誰もいなかった。我々は自炊であるから時間は気にしないが,その2人は直接山荘へ向かったメンバーに夕食を頼んでいるようである。
 山頂からはガスのため眺望はないが,中高年2人は日本第二の高峰に到達した感動に浸っている。


【ハクサンイチゲの大群落】

 北岳周辺に咲く,白い花はキタダケソウと思いこんでいたけど,帰ってからよく調べるとハクサンイチゲだということが分かった。キタダケソウは花弁が透明がかっているようで,もはや大群落を見せることなく,見つけるのも希なようである。時期も6月下旬から7月上旬で今回はちょっと訪れるのが遅かったようだ。


 北岳周辺は特にお花畑が多い。白や黄色や紫の色が鮮やかで,写真や絵の具ではとても表現できない色である。
 吊尾根分岐でザックを回収し北岳山荘へ向かう。平坦な尾根道であるがなかなか山荘にたどり着かない。山荘方面から鐘の音が聞こえるが,距離感が分からない。小屋が見えてから30分は歩いている。

[北岳山荘〜大門沢小屋]
18:00 北岳山荘に到着
 本来ならばテント泊の予定であったけど,台風が接近しているため今夜あたりから天候の悪化が予想されたので,すでにテントを張っている人もいたものの山荘に泊まることにした。シュラフ持参の素泊まりの料金は3300円,今夜の素泊まりは我々2人だけで,9畳程の部屋を個室よろしく使えることになった。
 スコールで多少濡れた装備を部屋に広げ,夕食の準備のために外に出た。目の前に立ちはだかる北岳が夕日を浴びて赤く染まっている。
 夕食を済ませ,部屋でのんびりしていると,いきなり消灯。21時前である。山の夜は早い。
4:00 起床。
 4時ともなると外はすっかり明るさを取り戻しており,心配された天気は快晴であった。北岳は朝日を浴び,一面に雲海が広がっている。雲海の上に頭を出しているのは,誰も見まがうことのない富士山である。
5:30 出発
 朝一の歩き始めはとても気持ちがいい。左手には何処までも続く雲海,足元は花を咲かせた高山植物群。行く道の先にある朝日を浴びた中白峰を見ていると胸が熱くなる。山にきて最もよかったと感じるのはこの時であった。

【雲海に浮かぶ富士】

 ◆◆


 中白峰(3055m)で小休止。

【ハクサンイチゲとミヤマキンバイ】

 ◆◆


 間ノ岳までの道のりは高山植物が多い。ハクサンイチゲを筆頭に,チングルマ,ミヤマキンバイ,シナノキンバイ,アオノツガザクラ,シャクナゲ,イワカガミなど知ってる花はほとんど登場する。一回訪れるだけで,花の写真集が出来上がるほどである。

【ミヤマオダマキ】


【間ノ岳山頂】

7:10 間ノ岳(3189.3m)に到着,風が強く,気温は10度。じっとしていると寒い。北岳方面を撮ろうとするが,いくら待ってもガスが消えないので,アングルを変えて富士をバックに撮影した。


【西農鳥岳に向かうザレ場】

 間ノ岳のザレを下っていくと,赤い屋根の農鳥小屋が見えてくる。その奥の西農鳥岳のピークは雲で見え隠れしている。雨雲が近づいてきている。


8:20 農鳥小屋についた時点で雨が降り出してきた。この雨は台風6号にかわる低気圧の影響によるもので,今後の好天は期待できそうにない。雨具を身につけ,カメラもザックの中へしまう。ここから先写真を撮ることはなくなる。
 雨は次第に強くなる。西農鳥岳(3051m),農鳥岳(二百名山,3025.9m)と,ピークをクリヤーするが,休むことなく小屋へと急ぐ。

 大門沢下降点から稜線と別れをつげ,大門沢へと下っていくが,大門沢からの吹き上げは強い風である。樹林帯の急坂の下りで,踏み出す度に痛めた膝に痛みが走る。
 雨の中,調理はできないので,岩に腰掛け,カロリーメイトを昼食とする。

[大門沢小屋〜奈良田温泉]
13:30 ひたすら下ること2時間あまり,大門沢小屋到着にようやく到着。小屋の前には大きなシートで屋根を作っており,こういう雨の日は大助かりである。レインウエアやザックカバーを木箱の上に置いて乾かす。
 塩見岳へ行くと言っていた北岳で一緒になったパーティーがなぜかここで休んでいた。聞くと塩見方面から来たパーティーに,風雨が強く危険だと脅かされて急遽予定を変更し,大門沢へ降りてきたとのことである。
 小一時間も待ったか,ようやくDAYさんが降りてきた。ちょっと遅くなった昼食を作って食べ,小屋の中で休んでいると眠くなってきた。小屋の夕食時にはそれほど腹は空いてないので,外でお茶を飲むことになった。
 この小屋も消灯が早い。お茶を飲み過ぎたのか,目がさえてなかなか寝付けない。
4:50 起床
 4時頃に鳥のさえずりに目が覚め,夜明けを感じる。外はまだ天気が良くないらしく薄暗い。小屋の朝食を食べた他のパーティーは早々に出発準備に取りかかっている。
我々はのんびり外で野外調理。
6:10 出発
 歩き出したら雨が強くなり,また雨具を付けることになった。
 膝の痛みは相変わらずではあるが,それしきで歩行ペースは落としたくない。次々と先行メンバーを抜き去る。大門沢は昨日からの雨で,かなり水量が多い。
 吊橋を何ヶ所か通過。細いワイヤーで作られており,いつ落ちてもおかしくない。
8:10 広河内橋に到着。トンネルの中で雨をしのぎつつDAYさんを待つ。隣のトンネルは広河原に続く林道で,夜間(17〜8)通行止め。この時間はゲートを開けて何台かの自動車が通り抜けていった。
 30分ほどでDAYさんと合流。アスファルトの道を進む。
 さらに30分ほどで奈良田温泉に到着。9時台のバスに間に合う時間であったけど,温泉に入りゆっくりしたいので,次のバス(5時間後)で帰ることにする。
 少し登ったところに共同浴場があり,休憩室もある。温泉で三日分の汗を流し,湯船に浸かっていると最高に気持ちがいい。町から車で乗り付けて温泉にはいるのとはわけが違う。
 湯から上がったところで,先日知り合った4人組と休憩室で酒盛りをすることになった。話しははずみ,いつになくビールがすすむ。最後にほうとうを食べたが,これがまた実にうまい。
 ほろ酔い気分で,隣にある白旗史朗記念館を訪れることにする。白旗史朗の記念館は存在は知っていたけど,まさかここにあるとは知らなかった。入場券を共同浴場の売店で購入して見に行った。
 館内には南アルプスだけではなく,ヨーロッパやヒマラヤの写真も多い。山を知るものにとっては,その作品がどんなに苦労して撮ったものかがよくわかる。とても美しい写真ばかりであった。
白旗史朗写真館 http://www.sannichi-ybs.co.jp/sirahata.html  14時発のバスの時間はあっと言う間に訪れ,バス停へと向かう。思ったより乗客は少なく余裕で座れ,身延駅まで2時間余り一眠り。ふと目を覚ますと空は快晴。山中での大雨が嘘のようである。

【お世話になった5人】
奈良田温泉ではご馳走になりありがとうございました。m(_ _)m

おしまい

NOYAMA
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