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日本百名山

立山

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起死回生の快晴!、山頂からは大眺望
日程 2003年08月22日(金)
山名 劔岳
山域 北アルプス
入/下山地 剱沢キャンプ地
メンバー 単独行


二日目の行程
劔沢キャンプ地(5:00)−劔山荘−(6:17)前劔−(7:47)劔岳−前劔−一服劔−(10:29)劔沢キャンプ地(11:03)−(11:45)別山乗越(11:55)−新室堂乗越−奥大日岳−(16:00)大日小屋(5:47)−(7:11)大日平山荘

 翌朝、期待通り雲ひとつ無い晴天に恵まれた。テントはそのままに、サブザックに必要なものを詰め込み、劔岳を目指す。野営場管理所の建物の前の道を沢に向かって下っていく。天気がいいと足下の高山植物の花を見る余裕も出てくる。8月下旬とはいえ、まだ咲いている花は多い。劔山荘の横を通り抜けて一服劔までは難なくたどり着く。目の前には前劔の岩肌がそびえている。すでにそこまで到達している人が何人も見える。
 前劔直前のクサリ場では中高年パーティーによって渋滞している。そういえば、今回のルートでは若者の姿をほとんど見なかった。当初前劔を劔岳山頂と勘違いして、その頂上に立ったとき、意外と楽だったと思いつつ、目の前に更にでかい岩峰がそびえているのを見たときに愕然とした。やはり劔はそんなに甘くなかったと。

【カニノタテバイ】

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 劔岳山頂直前には、かの有名なカニノタテバイがある。急斜面の岩場を縦に登るのだが、そこには何人もが鈴なりになって取り付いている。順番が回ってくるまでそれらを眺める。実際に登ってみると思ったより簡単で、奥秩父の乾徳山の方が難易度が高いように思えた。劔岳の方が多くの人が登っているという安心感もある。
 劔岳山頂には小さな祠があり、その向こう側にはすでに多くの登山者でごった返している。標高は3000mにわずかに足りない2998mだが、天気も味方し眺望は抜群である。富士山もはっきりと見えている。先日富士五湖の山から見えなかった富士山が、遙かに遠い劔岳から見えるというのも皮肉な話だ。富士山はどこから見てもそれが富士だと分かる極めて象徴的な山だ。山頂ではおきまりの360度パノラマ写真を撮る。
剱岳のパノラマ
 山頂からは混雑を避け早めに下ることにした。下りは登りとは違うコースでカニノヨコバイを通る。しかしその横ばいも思ったほど恐ろしいものではなく、8mほどのものだった。そして鉄バシゴを降りると岩陰に掘っ立て小屋が立っていた。何かの観測小屋かと思ったらトイレであった。しかも汚れておらず綺麗だ。用はなかったが思わず用を足した。どこが管理しているかは知らないが、有り難いことである。
 テン場に戻った時は昼前で、劔岳往復5時間半かかったことになる。この日は忙しい。昨日半日停滞した分を取り戻さなければならない。急いでテントを撤収し、奥大日岳方面へ向かう。荷物が急に重くなって、別山乗越までの登りはちょっと応える。別山乗越には劔御前小屋があり、ここまで頑張ってきたご褒美にペプシ(\300)を買って飲む。山で喉が渇くとどうしてかコーラが飲みたくなる。普段はあまり飲まない。カロリーが高いと言うことを体が知っているからだろうか。小屋の前に座り込んでそれを飲んでいると、ヘリが来るので退いてくれとのこと。やがてヘリがやってきて、小型のパワーショベルを置いて去っていった。双発の大型ヘリ(参考)だったが、今日は劔沢小屋でも何度も資材を運び込んでいて、一日中上空をこのヘリが舞っていた。このところの天候不順で飛べなかった分を今日一日で取り返しているかのような活動ぶりである。この劔御前小屋でもこのあと十数回運び込まれるとのことであった。
 次のヘリが来る前に移動開始。大日岳方面へはトイレ小屋の右手の道を進む。新室堂乗越までは一気に下る。新室堂乗越からは、大日岳に行かないでそのまま室堂方面へ帰ってしまうという選択肢もあったが、天気もいいし、まだ時間もあるのでもうしばらく稜線歩きを楽しむことにした。少しガスも出てきたが、冷えた空気も心地よい。

【奥大日岳からの剱】

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 奥大日岳山頂からは、劔岳大展望のはずであったが、ここはガスのため展望は無かった。気持ちの良い稜線歩きは続く。池溏を渡り、ハシゴを下る。眼下には室堂に続くスカイラインが見え隠れする。七福園というところだろうか、巨岩の転がる上を飛びながら渡る。池溏にかかる木道を渡り、2500mの標識を右手に見て、やがて大日小屋が見えてくる。今回はこの大日小屋を利用することになる。縦走で有人小屋を利用するのは初めてだ。このあたりにはテン場がないので仕方がない。どうせ泊まるなら2食付きと、山行人生最大の贅沢を予定している。

【大日小屋前からの剱】

***


 朝の5時から行動を始めて16時にようやく行動終了。久しぶりによく歩いた一日であった。山小屋泊まりという超贅沢をしても罰は当たらないだろう。一泊2食の料金は\8400、高いのだか安いのだか分からないが、財布にはこたえる。しかもここでは生ビール(\800)を注文してしまった。小屋の前のベンチで、暮れなずむ劔岳を眺めながら飲んだ。 5時半からの夕食は期待した。この山岳地帯で一体何が出されるのだろうか。出てきたものは鮭の揚げたものをメインにやけにミョウガの効いた豚汁、ゼンマイの煮物等々。なかなか種類も多く食べ応えがある。あまり食欲はなかったが全て平らげた。豚汁はお代わりをし、お茶もがぶ飲みした。
 食べた後は寝るだけ。昨日寝過ぎたせいかなかなか寝付けない。もっともまだ19時前だ。この日は8割方布団が埋まっているようだ。最盛期にはどうなるのだろうか。とりあえず横になったまま、時が過ぎるのを待つ。

Camera:CANON EOS 10D

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