《山概略》
　日本百名山のひとつである北アルプスの剱岳は、2009年に新田次郎の小説を元にした『剱岳 点の記』の映画が公開されたこともあり一躍注目される山となった。前回訪れたときはは立山駅からアプローチしたが、今回は扇沢から入ることになった。どちらも室堂が登山口になることに変わりはない。前回はなぜか、剱岳に行くには立山から入るという思いこみがあった。扇沢からのアルペンルートを避けたと言うこともあったのかもしれない。

　《アプローチ編》
　金曜の夕方自宅を出発し、八王子の仲間の家に車を置き、仲間の車で扇沢へ向かった。高速は24時を回った直後に豊科ICを出て1時頃に扇沢の大駐車場に到着した。駐車場にはすでに多くの車が駐まっている。皆考えることは同じで、夜の内に来て朝一番のバスに乗るためだろう。上高地に行く大樺沢と似たようなものだ。
　朝まで車中で仮眠を取ることになるが、運転手の黒岩さんは建物の軒下で寝ると言って去っていった。足を伸ばして寝たいそうだ。気温は低く寒いが空は満天の星空で、明日からの天気が期待できそうだ。
　翌朝は４時過ぎから明るくなり、空は快晴であった。つい一昨日まで日本列島は大雨に見舞われていたが、この日を境に梅雨が明け、連日の好天が続くことになる。

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【扇沢きっぷうりばの行列

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　三連休初日の朝なので、きっぷ売りが場は大行列になるのではないかと心配した。出発30分前には並んだがそれほど大行列にはならなかった。日中は最初のバスよりも後々のロープウエイで2時間待ちになるなど混雑するようだ。

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　扇沢を出発するアルペンルートの始発は6:30である。チケット売り場には早々と行列ができていた。列の前の方はほとんど観光客で、後ろの方が登山者となっていた。室堂までは往復割引で8800円。さらに10kg以上の荷物が黒部ダムまで210円かかる。黒部ダムから室堂までの荷物料金は400円だが、それぞれ運行会社が違うらしく、黒部ダム駅であらためて買わなければならなかった。
　バスの出発待ちで並んでいると、隣の列で見たことがあるワッペンを付けたザックを黒岩さんが発見。持ち主に見覚えは無いなあと思いつつ、声をかけると加藤隊長だった。99年に笹子雁腹摺山でご一緒したことがあるので、11年ぶりの再会であった。
　 　扇沢からは電気バスで黒部ダムまで向かう。もちろん地中のトンネルである。バスは５台ほどが連なって走ることになるが、始発バスにあぶれた客はいないようだ。最後尾は荷物だけを載せたトラックが２台続いている。
　バスは寸分違わずに定刻通り出発する。トンネルなので、車窓から見えるのは壁だけである。車内アナウンスでトンネルの説明をしていた。
　黒部ダム駅でバスを降り、通路をしばらく歩いてトンネルを抜けると目の前がダムの上である。左側には湖面が広がり、右側はコンクリートの絶壁である。壁の二ヶ所からは勢いよく放水されている。

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【黒部ダムの放水】

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　日本一高いダム壁は高さ186m、この時期の日中は観光放水が行われている。毎秒10t以上排出される放水は迫力がある。

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【ダム湖の向こうに赤牛岳】

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　ダム壁の放水に比べ、ダム湖の方は穏やかである。湖面には赤牛岳が映っている。（撮影は19日）

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　ダムの反対側のトンネルに入り、トンネル内の分岐で赤牛岳に行くという加藤隊長と分かれる。我々は引き続きケーブルカーに乗るため行列に並んだ。
　地中のケーブルカーで標高差400mほどを一気に登り、引き続きロープウエイに乗るために乗り場へ向かう。途中、整理券が配られ３番目のロープウエイに乗れることになった。待ち時間がは20分ほどあるので、外の展望台へ出た。
　展望台からは正面に北アルプスの鹿島槍が見える。反対側はロープウエイが登っていく先で立山連山がそびえる。ロープウエイのケーブルは立山の山腹の穴から伸びている。

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【黒部平から見上げる立山連山】

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　ロープウエイ駅の屋上は展望台になっている。待ち時間で屋上に行き、展望を楽しんだ。

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　ロープウエイの次は再び地中の電気バスに乗り換える。立山の山の中を3.7km走り、標高2,450mの室堂に到着する。扇沢からは一番のバスで乗ってきたが、立山駅からはすでに何台ものバスが客を運んできているので、室堂周辺はたいへんな賑わいである。
　立山玉殿の湧水の碑が立つ水場では、これから歩き始める人たちが水を汲んでいる。すでに飲料水は万全なので、ここでは水を飲んで立山へ向かった。
　 　
アルペンルート室堂までの道のり

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