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東海自然歩道

焼山・袖平山


東海自然歩道を目指す前の裏丹沢縦走
日程 1996年12月7日(土)〜8日(日)
山名 焼山・袖平山
山域 丹沢
入/下山地 焼山登山口/西丹沢自然教室
メンバー DAY,福島


カシミール3D使用(撮影データ:丹沢上空4000m、撮影範囲25km、レンズ16mm、森の山々)


 今回歩いた裏丹沢の縦走路、焼山−西丹沢自然教室間は東海自然歩道に指定されている。一部を除いて道はよく整備され、道標や案内板も多い。しかし表の丹沢山や蛭ヶ岳、檜洞丸などと違って、交通の便が悪いためか訪れる人は少ないようだ。都心に近い丹沢で静かな山旅を楽しむことができた。
 DAYさんとは橋本駅の改札前に12時に待ち合わせた。駅前から出ているバスは焼山登山口まで直接行くと思っていたら、三ヶ木で乗り換えなければならなかった。しかも三ヶ木行きのバスは意外と少なく、次の発車時刻は12:55。これでは明るいうちに黍殻避難小屋へ着きそうもない。(実は駅反対口には頻繁に出ているバス停があったらしい)
 バスの待ち時間が一時間近くあったので、駅前のコンビニで弁当を買って食べた。ようやく来たバスに乗り込みバス定刻に発車するが、渋滞の中をノロノロと進む。終点の三ヶ木で降りるときには、神奈中の若い運転手はしっかりと手荷物料金¥200を請求した。(神奈中は自宅から駅までいつも利用しているが、手荷物料金は未だかつて取られたことはない。きっと運行規定に忠実な新米の運転手だったので彼なりに任務を遂行しただけなのであろうか)
 月夜野行きのバス乗り場へ行くと、まさにそのバスが発車したばかりでバスの後ろ姿を恨めしく眺めるのことになった。時刻表を見ると、どうやら月夜野行きのバスは我々の乗ってきたバスの到着を待って20分遅れで発車したようだ。弱り目にたたり目とはこのことで、思わぬ手荷物料金の請求に時間を取られていたおかげで乗り損なった。
 次のバスは一時間以上ないので、タクシーを呼んで焼山の登山口へ行くことにした。

焼山登山口 【焼山登山口】

実際の登山口は道路を挟んで反対側。
月夜野方面へしばらく行くと標識がある。


(三ヶ木−焼山登山口、タクシー¥2650)
 タクシーは神社の前で降ろされる。ハイキングコースの案内板があり、コースの確認をする。神社の裏手には小さな公園にトイレあり。
 国道を少し月夜野方面へ歩くと、焼山への入口の標識がある。やがて道脇に「熊出没注意」の看板。ホントだろうか。旧道と新道の分かれ道では旧道を選ぶ。前者は尾根道で後者は暫く林道を歩き谷筋を登って合流する。古くから登られていた道なのだろうか、旧道は途中石畳になっている。

登山道 【登山道】

落ち葉の絨毯を歩く


 日がだんだんと落ちてきて、西の空が赤らんでくる。尾根道はつづら折りとなり、急坂を登りきり、巻き道から右手に行く。雑木林の間から鉄塔の展望台が見えてくる。そこが焼山山頂である。案内板によると、焼山のいわれは、将軍の狩りのために見通しが利くようによく山焼きを行っていた、ということらしい。

焼山山頂 【焼山山頂】




展望台からの眺望 【展望台からの眺望】




 鉄塔の上に立つと360度の眺望。丹沢山の稜線にはうっすらと雪がかかっている。鉄塔を降りて後続のDAYさんを待つ。山頂の気温は0度。ここまでTシャツ一枚で登ってきたが、じっとしているとさすがに寒くなってくる。
 焼山を後にしてから、空は急速に暗くなっていく。宮ヶ瀬方面の夜景がやけに綺麗である。電池の切れかかったマグライトの光が頼りであるが、うっすらと積もった雪のおかげで明るく感じる。平丸分岐を通過しておよそ30分、そろそろ黍殻避難小屋に着いてもおかしくはないはずだが、その気配はない。やがてコース案内の立看に出くわし、それによると現在地はまさに小屋の横となっている。が、しかし光の届く範囲に小屋はない。もう少し先に行ってみようということになり、坂を登り続ける。10分ほど歩いて小屋の気配はまったくない。時間的にいくら何でもこんな先に黍殻避難小屋がはあるはずがないので、さっきの立看の所へ引き返す。更に周辺を捜索すると、焼山方面へ少し戻ったところに避難小屋への分岐と道標がしっかりとあった。登ってくるときその道標は確認していたが、書いてある文字を確認しなかったのはミスだった。
 分岐を下っていくとすぐに小屋が見えてきた。煙突からは煙が上がっている、先客がいるようだ。小屋の重い扉を開き中へはいると、もうもうたる煙幕の中には2人だけいるようで、小屋の真ん中にある大きなストーブに火を入れている。排煙の悪いストーブのために窓を開けさせてもらう。この分では朝には装備一式薫製になることだろう。
 すぐに食事の用意に取りかかり、体を温める。

夜明け 【夜明け】

小屋の窓から撮影


 翌朝はまだ暗い5:30に起きだし朝食を取る。小屋の窓は東を向いており、月と金星に続き、太陽が顔を出そうとしている。
 小屋にはトイレがついており、なかなか綺麗。快便を果たすことができた。

黍殻避難小屋 【黍殻避難小屋】

管理:神奈川県丹沢大山自然公園管理事務所
   0463-81-1421
収容人数:20人
標高:1,165m、水場なし


 小屋を出ると初めて小屋の立っている状況がわかった。すり鉢状の広場にはテーブルが点在しており、休憩するにはもってこいの場所である。

横浜の高層ビル 【横浜の高層ビル】

ランドマークタワーとインターコンチネンタルホテルが雲に浮かんでいる。
(10:22)

登山道 【登山道】

地面は凍てついている


 昨日登った道を再び登り返す。八丁坂と呼ばれるところで、だらだらと登りが続く。雲一つない快晴で、時折霞の彼方に新宿や横浜の高層ビル群が見渡せる。
 坂を登りきり、姫次(1433m)と呼ばれるピークに着く。ここは東海自然歩道1,343kmの中で最高地点らしい。東海自然歩道がどこからどこまで続いているのかは知らないが、それに挑戦するのもいいかな、なんて思ったりもする。少なくとも今回のコースは東海自然歩道のうちの20kmあまりである。
 姫次からは目前に富士の姿が見えている。左右に広がるすそ野も遮られることもなく、五合目付近まで雪をかぶったその姿は富士山が最も富士山らしい姿である。写真はPLフィルターを使ってちょっと慎重に撮影。

蛭ヶ岳 【蛭ヶ岳】




 ここから蛭ヶ岳と神ノ川に分かれる。登ってくる途中で追い抜かれた小屋で一緒だった二人は蛭ヶ岳へ行くそうだ。蛭ヶ岳は目の前にこんもりと丸い山頂が目の前に見えている。丹沢の最高峰であるが、ここからだと意外と近そうである。我々は神ノ川へと向かった。

富士と大室山 【富士と大室山】




霜柱 【霜柱】

今時の子供は霜柱を踏んだことがあるのだろうか。


 袖平山(1,431.9m)を通過し、風巻ノ頭(1,077m)まではアップダウンが続く。袖平山からはながめがよく、これから歩く尾根道と共に大室山や富士山が一望できる。足下の霜柱は10cm近く成長し、踏みしめる感触が心地よい。風巻ノ頭には地図上に休憩所のマークがあるが、屋根があるのみでここは宿泊に適さない。

風巻ノ頭 【風巻ノ頭】

雨宿りや風よけにのみ有効な休憩所


 東海自然歩道だけあって、要所要所には親切な案内板がある
 標高1,077mの風巻ノ頭から神ノ川までは500mほど一気に下る。立派な橋を渡ると林道に出る。西丹沢へ抜ける林道で、一般車は通行禁止のはずだが、何台ものオフロードバイクが土煙を上げて走り去った。急斜面を切り開いた林道のためか、上の方からパラパラと小石が降ってくる。

神ノ川 【神ノ川】




 日蔭沢橋には(僕の持っている)地図にはない神の川ヒュッテがある。ヒュッテで甘酒をご馳走になり、主人としばし話をする。主人の話によると、もともと閉鎖になっていた小屋ではあるが、神奈川国体の選手(?)を養成するために昨年から関係者が持ち回りで小屋を維持しているそうだ。
 神の川ヒュッテから犬越路越えで西丹沢自然教室へ向かう。今回のコース最後の登りである。途中道ばたでたき火をしている怪しげな猟銃を持った男とすれ違い、しばらくして銃声が聞こえた。誤って打たれたらかなわん、と思うが為すすべはない。

【犬越路】
(かながわの景勝50選)
西丹沢には、武田信玄に関する伝説がいくつもありますが、その信玄が小田原城を攻めたときイヌを先頭にここを越えたとも、またそれが地名の起こりだともいわれています。それに、西丹沢のおもな尾根筋では樹林ばかりなのに、ここだけが明るい草地だというのも、この峠をいっそう特徴づけています。
神奈川県

犬越路避難小屋 【犬越路避難小屋】

管理:神奈川県丹沢大山自然公園管理事務所
   0463-81-1421
収容人数:10人
標高:1065m、水場なし


 犬越路は相変わらず日溜まりになっていて、凍った地面が融けだし足元がぬかるんでいる。泥が足にまとわりついてうっとおしいので、いっそのこと靴を脱いでテーブルの上にどっかと腰を下ろす。
 DAYさんが到着してから昼食を始める。

犬越路からの眺望 【犬越路からの眺望】




 犬越路から用木沢出合まで下り、西丹沢自然教室のバス停まではアスファルトの道を歩く。何故にアスファルトにする必要のある道なのかわからぬが、また向かってくる車も必ず引き返してくるのも不可解であるが、用木沢出合から20分あまりでバス停に到着。うまい具合にバスの時間まであと20分ほどなので、自販機の缶飲料で一服。
 出発したときはそれほど込んでいなかったバスは、途中次々とハイカーを拾い上げ新松田に着く頃は満員状態となっていた。

用木沢出合 【用木沢出合】

狭い駐車スペースにいつも多くの車が止めてある。ここから徒歩25分の西丹沢自然教室には十分な駐車場スペースがあるので、ここに停めるのは感心しない。


登山メモより
14:25 登山口
   水場→気づかず
16:07 焼山
16:48 平丸分岐
   水場→気づかず
17:55 黍殻山避難小屋
   初日歩行:10,332歩
5:30 起床
6:55 出発
7:37 姫次(1,433m)東海自然歩道全長1343Kmの中の最高地点
   袖平山
8:43 風巻ノ頭(小休憩)
   橋
10:20 日蔭沢橋
   山小屋(大休憩)
10:50 出発
11:58 犬越路(1,060m)、昼食
12:55 出発
13:36 用木沢出合
14:00 西丹沢自然教室
   二日目歩行:17,793歩


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