北アルプス2007アプローチ編 |
今年の夏は百名山の残りを消化すべく、北アルプスへ行くことになった。仲間が赤木沢へ行くというので、それに便乗することにしたのである。ベースは薬師峠ということなので、目標の山は薬師岳と黒部五郎岳になった。そして、条件が良ければさらに足をのばして白山も行けるのではないかと目論んでいた。日程は十分にあるので、あとは気力と天候次第ということになる。赤木沢は沢ヤに言わせれば結構素晴らしい沢と言うことだ。そこへ行くのも楽しみである。
当初は夏休み初日の前夜から出発の予定であったが、折立までの長丁場の運転と薬師峠までの長丁場の登りを考えると、徹夜はなかなかつらいものがある。出発前日は午後半休を取って早めに出発することにした。 出発当日の都心は酷く熱かった。職場からの帰宅途中に燃料やサブザックなどを買い、今回の山行に備えた。サブザックは沢へ行くときに使うもので、なるべく軽いものを探していたが、ドイターのマギー(20L,230g)が3,675円と手頃だったので購入した。しかし実際に現地で使ってみると、これが思いの外容量が少なすぎた。この手のもので30Lくらいは必要だった。 汗だくになって自宅に戻り、荷物を整えるとすぐに車を取りに行った。駐車場へ移動するだけでも大汗をかいた。早く灼熱の首都圏から脱出して涼しい稜線に行きたいものだ。関東地方は最近になって本格的な夏の暑さに突入していた。 橋本駅でChifuさんと合流し、相模湖ICから中央自動車道に乗る。今回からETCカードを2枚使って高速料金を安く押さえる作戦で、須玉IC(19:24)で下り、長坂ICで再び高速へ、そして塩尻北IC(20:57)で下りた。これで通常より半額になっているはずだ(合計2,050円)。このような利用方法は時間と距離の微妙な関係で、事前の計画が欠かせない。安房トンネル(750円)を抜け、国道xxを北上する。仮眠場所を求めながら走っていると、神岡道の駅が良さそうだったので、そこに駐車。広い駐車場は数台の自家用車やトラックが止まっており、アイドリング状態のトラックは騒がしかったが、隅の方に止めるとそれほどうるさくはなかったので、そこで朝まで仮眠した。 名古屋方面の仲間とは6時に開通する有峰林道の入り口で待ち合わせをすることになっていた。5時くらいに道の駅を出発し、ナビに従い折立方面へ向かう。国道41号を右折し、有峰湖に向かう道に入ったところで、気になる道路標識があった。「この道は有峰林道へ通り抜けできません」。ナビが示している道なので間違いはないはずである。工事中で通行できない場合ならナビはそのように教えてくれるはずだ。イチかバチかナビを信じてそのまま進んでいった。奥に行くほど道は狭くなり、荒れてくる。しかし山では良くある林道なのでそこは気にしなかった。10分ほど走っただろうか、突如道の真ん中に車止めがあった。その車止めは簡単に排除できそうであったが、その先進めるかもわからなずあきらめて引き返した。 国道へ戻り、仲間と連絡を取って神岡の道の駅で合流。有峰林道への道はそこから平湯方面へ戻ったところを左折するようだった。その道は先ほど迷い込んだ道とは打って変わって、広い道で綺麗に舗装されていた。有峰林道は6時の開門と同時に料金所を通過する予定であったが、40分ほど遅れることとなった。料金所の職員に先ほどの道のことを尋ねると、その道は今年から廃止されたようで、カーナビを頼りに来る人は必ず間違えるそうだ。廃止の理由はやはり道が狭く危ないからだそうで、料金所の職員とはその場で5分ほど話をした(後ろから車は来なかった)。6時の開門の時はすでに40台の車が待っていたそうだ。有峰林道は富山側の料金所から入ってくる車の方が多いので、すでに100台以上が折立に向かっていることになる。ところで有峰林道の通行料金は1800円とかなりの高額である。 【折立の駐車場】 連休初日の朝、折立の駐車場はすぐに満車になる。駐車場に続く路側帯も登山者の駐車場として利用される。反対車線にパイロンが並んでいるのは片側が縦列駐車と見込んでのことだろう。 有峰林道は思いのほか長い。有料道路だけに狭い場所はほとんど無く快適に走ることができた。先ほど間違えた道とは雲泥の差であった。あとわずかで折立の駐車場というところで、前の車が進まなくなった。そしてそのままその場所が駐車場所となった。 装備を整え駐車場所を出発したのは8時過ぎであった。予定より遅れているが、この日は薬師峠までなので時間は十分である。しかし早く着いてテン場の良い場所を確保するに越したことはない。道路脇の駐車道はどこも満車で、8分ほど歩くと折立のバス停がある。バスの影に運転手らが地べたに座って談笑していた。バス停のすぐ奥が薬師岳登山口の折立ヒュッテで、多くの登山者がここで出発準備をしている。トイレや飲料の自販機、水場があり、ここで最後の入山準備をすることになる。 歩行データ:距離 7.3km、標高差 929m、登り 1048m、下り 110m 8:26、登山口を出発。左手に十三重塔がある。1963年正月に愛知大学山岳部の集団遭難事故で13人全員が死亡している。その遭難碑の一つだろう。私はまだ生まれていない頃のことだが、愛知県在住の仲間は当時の騒ぎを良く覚えているようだ。 太郎坂の登りは樹林帯が続き、暑苦しくもなく快適に登れる。2時間ほどで三角点(1870.6m)に到着。見晴らしが良く、車で通ってきた有峰湖(アリミネコ)が見える。その奥に見えるのは白山だろうか。 【道ばたで休憩】 太郎坂の登り、樹林帯を抜けるとなだらかな登りになり、いくぶんか楽になる。 【木道が続く】 太郎平へ続く太郎坂。登山道は幅広く裸地化が進んでいるが、木道や石道で保護対策が行われている。 三角点からは樹林が無くなり直射日光を100%浴びながら歩くことになる。必需品である日焼け止めクリームを露出した肌に塗りまくり、紫外線に備える。それにしてもこのようなクリームがどうして紫外線を防ぐのか不思議である。肌には間違いなく太陽光は当たっていて熱も感じる。なのに紫外線は通さないというのだから。 五光岩ベンチでは多くの人が休憩している。太郎平まで2.0kmとある。このあたりは植生保護のため丸太と石で道が造られている。多少歩きにくいが一歩一歩ゆっくりと登っていく。我々の歩みは遅く、後続のパーティーが次々と追い抜いてゆく。中にはカヤックを担いだなかなかの猛者もいた。黒部川を下るのだろう。山の楽しみはそれぞれである。装備の重さを訪ねると、40kgと答えが返ってきた。 【小屋が見えてきた】 小屋が見えてきても見通しがよいのでまだまだ歩かなければならない。 途中偶然にも大阪在住の山の仲間とすれ違う。メジャーな山では良くあることである。別の仲間もこの日は薬師峠に入っているはずだが、そちらは会うことはなかった。 道は木道になり、目の前には薬師岳の山塊が見えてくる。緑のなだらかな山裾に向かってあと2時間以上は歩かなければならない。しかし雄大な景色や道脇の高山植物の花々が退屈さを感じさせない。 13:24、五郎平小屋に到着。 【太郎平小屋の前】 【太郎平小屋】 収容人数:60人 宿泊料金:1泊2食/8400円,素泊/5200円 水場有り テント場は薬師峠徒歩20分 営業期間:6月上旬-10月下旬 太郎平小屋では生ビールを売っている。これは喜ばしいことである。一杯1000円であるが、この場所にあっては貴重である。この日はテン場へ急ぐため太郎平小屋の前は素通り。小屋前の水場に立ち寄り水を飲むと生ぬるかった。沢の水をいったんタンクに貯めているようで、炎天下でタンクが暖められているのだ。 【テン場が見えてくる】 色とりどりのテントが見えてくる。 太郎平小屋から稜線を薬師岳方面に歩く。小屋からテン場まで徒歩20分かかるというのも珍しい。 13:55、薬師平テン場到着。峠の鞍部へ下ったところがテン場となっていた。すでに多くのテントが張られていた。我々も適当な場所を選びテントを立てた。テン場には山小屋からの出張所があり、缶ビールも売っていた。山小屋に戻る必要もなく、缶ビール(500円)で乾杯した。 【薬師峠の水場】 沢から引いた水がふんだんに流れている。「飲料不可、煮沸すれば飲める」と書かれていたが、期間中この生水を大量に飲んだ。 水場の正面には綺麗なトイレがある。 【夕食はそうめん】 テン場は水に不自由しないので、そうめんのような水を使う食料でも問題はない。しかし、鍋に対しそうめんが多すぎたので、あまりうまく茹であげることができなかった。
続きCamera:Panasonic DMC-FX9,Canon EOS 10D
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