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上海・蘇州放浪記-2012年

上海・蘇州放浪記-2012年

上海から高速鉄道で蘇州へ

上海から高速鉄道で蘇州へ

【東洋のベニス、蘇州】

東洋のベニス、蘇州

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コース(タイム)

蘇州駅(9:15)=虎丘=留園=観前街=北塔報恩寺=蘇州博物館=拙政園=蘇州駅(16:01)=上海駅=ホテル

 《蘇州放浪》
 上海から高速鉄道で蘇州へやって来たものの、行きたいところは決まっていたもののまずどこへ行くかは考えてなかった。とりあえず、南口に出るとバスターミナルがあったのでそこへ行ってみた。しかし途中で観光案内の手配師のようなオバサンにつかまってしまい、執拗に観光バスに乗らないかと勧誘される。何とかその場は振り切り、バスターミナルの路線図をチェックした。すると遊1というバスがいくつかの観光地を経由することが分かり、まずはその終着駅の虎丘まで行くことにした。
 バスは10~15分間隔で運行され、料金は均一で2元を乗車時に払う。運転手は両替やお釣りは一切対応しないので、この時のために小銭は十分用意している。料金箱に2元を入れて、一番後ろの座席に座った。バスは途中いくつかの世界遺産の近くを通るので、その周辺の様子をよく見ておき、このあと下車する時に備えた。乗客は若者が多く終着駅までに多くが入れ替わった。


蘇州路線バスの中
【蘇州路線バスの中】
   虎丘の泉
【虎丘の泉】

 終着駅の虎丘で降りるとすぐ目の前に虎丘の券売所がある。そこで入場券を買うが、虎丘の入口までは距離があった。公園のような所を通り抜け、運河の橋を渡り、右手に進む。周りの黄色い壁がやけに派手だ。入場券を買ってからだいぶ歩いてようやく入場できた。
 虎丘は春秋時代に呉越の戦いに敗れた呉王闔閭の墓があった丘で、その丘の上には地盤沈下で3.5度傾いた東洋の斜塔と呼ばれる雲巌寺塔が立っている。世界遺産には登録されていないが、今回の蘇州訪問で一番訪れたいところであった。呉王闔閭はドラマ『孫子兵法大伝』の登場人物でもあり、日本でも放映されている。  虎丘というだけあって、丘の上に向かって上り坂が続く。少し登ると岩で囲まれた剣池がある。人工的に敷き詰められた岩なのか、見事な光景だ。池の右に回り込み、狛犬が控える階段を上っていくと石の塔が見えてくる。

お茶目な狛犬?
【お茶目な狛犬?】
   傾く雲巌寺塔
【傾く雲巌寺塔】

 雲巌寺塔は西暦961年に完成した八角七層のレンガ塔で、高さは47.7mある。北東に2.34メートル傾いているらしく、見た目よりは傾いている。塔の周りには柵があり、中に入ることはできないので、遠巻きに一周回りながら写真を撮った。
 来るときは気づかなかったが、南門には阿吽の仁王像が立っていた。ここの仁王はどこかマンガっぽい。出口は運河に沿ってしばらく歩く。運河には観光用の小舟が待機しているが、平日で雨も降っているため、利用客は誰もおらず、閑古鳥が鳴いている。虎丘を一周する2kmコースは6人で一艘100元となっていたので、けっこう安い。
 虎丘を出るときは、土産物屋を必ず通るようになっている。やはりここも客が少なく、開店休業状態だ。先ほどのバス停まで歩き、それほど待つことなく遊1のバスが来たので乗り込んだ。始発なので最初は空いていた。

観光に便利な遊1バス
【観光に便利な遊1バス】
   留園
【留園】

 次は留園というバス停で下車する。車内アナウンスがあるので注意深く聞いていなければならない。しかし場所の見当は付いているので、無事に下車することができた。バス停のすぐ前が留園の入口になっている。入場料は30元(冬料金)だった。先ほどの虎丘より安い。
 留園は世界文化遺産に指定され、中国四大名園のひとつであり、蘇州を紹介するテレビ番組には必ず出てくる場所で、奇怪な形をした太湖石が特徴的だ。回廊に沿って池の周りを一周して見てまわったが、日本にも日本庭園があるので、ここが世界遺産といわれてもピンと来なかった。

冠雲峰という太湖石
【冠雲峰という太湖石】
   中国三大木造建築、玄妙観
【中国三大木造建築、玄妙観】

 再びバスに乗り、今度は玄妙観という繁華街で下車した。この辺りは人も多く、道も混雑している。蘇州の中心地だろう。玄妙観というのはお寺だが、その寺の前の通りが観前街という歩行者天国になっている。ここから少し南に行ったところに、目的のソバ屋がある。このソバ屋は朱鴻興麺館と言い、小説『美食家』に出てくる店である。この小説の登場人物が、毎朝この店で麺を食べるのだが、その話が面白いのである。蘇州にその店が現存するというので、来てみたかったのである。
 朱鴻興麺館はすぐに見つけることができた。昼前だったのでまだ店は混んでなく、カウンターでこの店で一番高い蟹粉面(25元)を注文した。席に着き、しばらくすると、麺と具が別の容器に入った蟹粉面が運ばれてきた。レシートの明細によると、麺が3元で蟹が22元となっている。かけそばなら50円と言ったところだ。麺に具をかけ、さっそく頂いた。麺は細麺でスープはこくのある醤油味、蟹味噌を絡めて食べる麺は何とも贅沢だ。

朱鴻興麺館
【朱鴻興麺館】
   一番高い蟹粉面
【一番高い蟹粉面】

 昼食のあとは、観前街をぶらぶらと歩いた。ファミリーマートやマクドナルド、ケンタッキー、味千ラーメンとおなじみの店が次々と現れ、異国の気がしない。若者が多い街である。広い通りの人民路に出て、北塔報恩寺まで歩いた。
 北塔報恩寺は、三国志に出てくる呉の孫権が母のために建てたもので、これも歴史が古い。入場料は25元だが、入場券が絵はがきになっている。印刷されている切手は80分なので12円だろうか。日本の50円と比べると格段に安い。しかも中国は広いので、遠距離だとコストもかかるだろうに。  入口の門には知恩報恩と書かれている。中に入ると正面に塔が見える。報恩寺塔は八角九層で高さ76メートル。こちらの方が先ほどの雲巌寺塔よりも高い。蘇州には高い建物が少なく報恩寺塔は中心地に立っているので、かなり目立つ存在である。塔は上まで登ることができる。
 狭い階段を息を切らせながら九階まで登りテラスに出ると蘇州の町並みが一望できる。今まで気づかなかったが、蘇州の住宅は黒い屋根と白い壁で統一されているようで、整然と並んだ町並みがどこまでも続いていた。テラスをぐるりと一回りしたが、街には高層建築がないようだ。紀元前から繁栄している街にしては意外である。

北塔報恩寺
【北塔報恩寺】
   塔の上からの眺め
【塔の上からの眺め】

 北塔報恩寺を出ると西北街の通りを東へ歩いて拙政園へ向かった。距離は1kmほど離れているが歩けない距離ではない。普通の住宅地のような通りで、バスや車も走っている。大きな交差点を渡ると、左手に真新しい建物が見えてくる。建物は蘇州博物館で、2006年10月に開館している。入場料が無料となっていたので中に入ってみることにした。帰りの電車の時間があるのでそろそろ見学は急がなければならなくなっていた。
 この新しい蘇州博物館は、地元蘇州出身の貝律銘という人が設計しているが、ルーブル美術館のガラスのピラミッドや日本のMIHO美術館の設計も手がけている。建物は蘇州調で、庭も石と水で蘇州の庭園を模していた。展示物は蘇州周辺で発掘・収集されたものが中心で、新石器時代から明の時代まで様々である。中国の博物館はストロボを発光させなければ撮影が自由なのでいくつかの展示品を撮った。大きな象牙に多くの人々を彫った彫刻は見事だった。

象牙の彫刻
【象牙の彫刻】
   拙政園
【拙政園】

 蘇州博物館の隣が拙政園(冬の入場料50元は今回一番高い)である。留園とともに蘇州古典園林として世界文化遺産に指定されている。拙政園は1509年に官僚の王献臣によって造営されている。日本もそうだが昔から官僚は私腹を肥やすことに余念がないようだ。しかし、拙政園の語源は愚かなものが政をつかさどるという意味らしく、やけに謙虚だ。
 拙政園は広々として、時間があればゆっくり過ごしたいと思える場所である。池の向こうに報恩寺塔が見え、借景となっている。盆景園には蘇州流の盆栽がいくつも並び、小高い丘の上には亭が立っていて雨をしのぎながら眺めを楽しむことができる。

蘇州駅北口
【蘇州駅北口】
   蘇州駅の待合室
【蘇州駅の待合室】

 拙政園を出ると、蘇州駅まで歩いた。蘇州駅周辺は開発が続き、南口にまっすぐ入ることができず、北口へ回り込んで行かなければならなかったが、道に迷うことはなかった。多くの荷物を持った人々の流れに逆らって歩けば駅に着くのである。
 あらためて蘇州駅を見ると、巨大な駅舎である。待合室も壁仕切りがなく一つの大きな空間に多くの乗客が列車を待っていた。蘇州は交通の要所とも言われるが、ここからは南京や北京、西安などに行く列車があるようだ。
 上海行きの高速鉄道は定刻にやってきた。最高速度は303km/h出ていたようで、上海にはあっという間に到着した。今回、蘇州では時間がなくて寒山寺を訪れることができなかったので、次に来ることがあったら必ず訪れたいところだ。それと松鼠桂魚も食べなければならない。

>>上海市内の観光へ続く

Camera:NIKON COOLPIX P300

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