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中国見聞録シリーズ

青島放浪記

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【小魚山からの眺望】
【2月4日】
 青島二日目は、老山へ行く予定だ。老山は黄海の岸辺にある1,133bの山で、中国人なら知らない者はいないほど 有名な山である。かの秦の始皇帝も不老不死の薬を求めてこの山に来ているそうだ。観光客が行く老山にはいくつか のコースがあるが、今回は路線バスで行くことが出来る、北九水へ行くことにした。
 ホテルの朝、部屋のカーテンを閉め切っていたため光が入らず、起きたらすでに7時で完全な寝坊だ。昨夜は、観光 マップで老山の行き方は調査済みで、ホテル前の道を少し東に歩いたところにある、福州路というバス停から311番の バスに乗れば、老山の北九水へ行くことが出来るはずだ。問題はバスの時間が分からないことで、これは誰も分から ない。中国ではバスに時刻表は存在しないのである。

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 【鳥の巣】
 【北九水行き】
 【バス停】

 福州路バス停に到着すると、交通局の人がいたので、311番が何時に来るか聞いてみた。すると、最初は8時20分 だとか言っていたが、その後8時とも言っていた。しかし30分ほど待っていると、7時50分にバスはやって来た。
 バスに乗り込み、車掌に北九水へ行くことを告げると料金は4.5RMB(この金額は記憶は定かではない)だった。バス は順調に走り、左手には青島大学が見えてくる。市街地から抜け出ると、乗客の数もまばらとなってくる。しかし、対向 してくるバスの方は乗客がすし詰め状態だ。あんなバスには乗りたくないものだ。
 車窓からは老山が見えてくる。そして道も悪くなり、やたらと揺れ出す。いよいよこれから山道にはいるのかなと思っ ているところで、バスは広い空き地に停まった。どうもここが終点なようで、車掌はここで降りろと言っている。目の前に 見える老山はどう見てもまだ先で、ここが北九水であるわけがない。自分は北九水に行きたいのであって、こんな所で 降ろされるいわれはない。だいいちこのバスは北九水行きだろう。以上のことは中国語で訴えることは出来なかったが、 よくよく話を聞いてみると(筆談を交えて)、山の道路はこの時期工事中で、バスは通れないとのことであった。そして、 帰りのバスは3時だから、この場所で待っておくように、と車掌は言い残してバスに乗り込むと、そのバスは来た道を 戻ってしまった。
 広大な中国の大地に取り残され、一瞬途方に暮れたが、とりあえず道を老山方面へ歩いていった。もちろん歩いて 老山まで行くつもりはない。まわりは人気が無く、たとえ人がいたところで助けにはならないだろう。タクシーもこんな 場所を走っているわけがない。少し歩くとバス停が見えてきた。そして何とタイミング良くバスがやってきた。行き先は 利村と言うところだが、そこまで行けば青島市街行きへ乗り換えることも出来るだろう。
 利村行きのバスは先ほど見たように満員だったが、なんとか乗り込む。車内の路線図を見ると、李村までは20ほど の停留所があり、けっこう時間がかかりそうだ。停留所に停まるたびに乗客が乗ってくるので、バスの中はすし詰め 状態。通勤地獄は東京だけではなかった。そして、李村が近づくと道路は大渋滞。日曜の昼前にどうしてこんなに混む のだろうか。

【利村集貿市場】

 ひょんなことから訪れることになった利村。いままで中国各都市を訪れた中でも最も人が集まっていた。
 市場をゆっくり見学してもよかったが、青島の主要観光地を回りたかったので、早々にその場を離れた。

 業を煮やした乗客は、終点まで待たずに次々とバスを降りていく。そんな乗客に流されるようにバスを降り、歩道を歩 いた。青島市街に向かうバス停を探さなければならない。しかしながら、この村はやけに人や車が多い。ふと橋の上か ら下を覗くと、衣料品の市場があり、大勢の人で埋め尽くされていた。日本ではこんなに人が集まる市場があるだろう か。中国には12億の人民がいることを実感させる光景であった。

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 【エンコバスを押す人民】
 【小魚山公園入り口】
 【覧潮閣】

 李村の中心地だろうか、バス停が見つかりバスを待つ。ここも道は渋滞しており、目的のバスはなかなか来ない。 バス自体は次々と来るのだが車内は相変わらず混んでいるようだ。あるバスがエンコしたのだろうか、乗客が総出で そのバスを押している。数メートル押したところでそのバスのエンジンは掛かり、乗客が乗り込んで去っていった。
 混雑したバスの中で立つのは御免被りたいので、タクシーで行くことにした。タクシーは贅沢品という感覚があるので、 中国でもなるべくバスを使うようにしているのだが、青島の初乗り料金は日本の六分の一程度である。タクシーはすぐに つかまり、小魚山公園へ向かってもらった。料金は心配したほど高くなく33RMBだった。
 公園の入り口の前には売店があり、商品を物色していると店員が出てきて、韓国人かと聞いてきた。日本人と答える と、日本語での営業活動が始まった。琥珀もどきのペンダントのようなものが3個10RMBだという。高いというと、 5個10RMBになった。うーんと関心を示さなかったらもう一個付けるという。じゃあもう一個追加なら(買おう)というと、 OKとなり、結局買う気はなかったものの7個を10RMBで買うことになった。
 チケットを買い、アーチ型の門をくぐり公園の中へ入る。きれいに整備された公園で、石畳を上っていくとすぐに山頂に 到着する。天気もよく眺望は抜群だ。西の方にはドイツ時代と思われる赤い屋根の住宅が建ち並び、遠くには高層ビル も林立している。赤いドームがある信号山公園もよく見える。

【第一海水浴場】

 小魚山からの眺望
標高60メートルの小魚山の頂上にある公園。三階八角の覧潮閣からは青島市街が一望できる。ドイツ時代は砲台が あったらしい。
入場:7:00-20:00,10RMB


 覧潮閣という展望台の中に入り、螺旋階段を登って上に向かう。最上階は土産物屋になっており、外のバルコニーに 出ると、眺めは更によくなる。東の方には、第一海水浴場がみられる。中国人民は、真冬でも健康のために海水浴を 行うという話であったが、この日は泳いでいる人はいないようであった。ちなみに、青島は、冬は横浜より5度くらい気温 が低くなる。
 小魚山公園を出て、迎賓館へ向かった。15分ほどで昨日、門前払いにあった迎賓館に到着。100年前に贅を尽くして 建てられたドイツ総督の家は、ドイツ人の設計で、ドイツ風の建物となっている。この手の建物は100年経っても遜色なく、 あと200年経っても立派に立っていそうだ。

【迎賓館】

 ドイツ総督の官邸として1908年に完成。  入場:8:30-18:00,10RMB

 建物の中にはいると、中ではドラマか何かの撮影を行っているようで、撮影機材やケーブルがあちこちにみられた。 普通、撮影の時は貸し切ってしそうなものだが、ここでは普通に観光客を入場させている。ちょうど昼休みでキャストや スタッフがぞろぞろと出てきて、外で食事を始めた。欧米人のキャストだろうか、器用に箸を使って食べていた。
 迎賓館の中は広く、まずはダイニングルームへ。吹き抜けとなっており、フロアの真ん中にはソファーが設置されている。 ソファーの上にはテレビカメラが無造作におかれており、ソファーの周りには撮影用のレールが敷かれていた。
 林彪や毛沢東もここで過ごしたことがあるという。ダンスホールや食堂、寝室、執務室など様々な部屋があった。
 次にキリスト教会へ向かった。迎賓館からはそれほど遠くなく、昨日も歩いた道を5分ほど歩くと到着。

【キリスト教会】

 1910年に完成。塔の四面にある機械仕掛けの時計は100年以上時を刻んでいる。
 入場:8:30-17:00,7RMB

 キリスト教会は小高い場所にあるので、石段を登ってその敷地に入る。7RMBのチケットは絵はがきにもなっていて、 60分(0.6RMB、約10円)の切手が印刷されている。建物の前には広場があるので、その隅に行くと 教会全体を撮影することができた。建物は先ほど見た迎賓館と同じような作りで、ドイツ風の重厚さがある。教会の中は シンプルな装飾で、天主教会と違って絵や人形は無い。休日には礼拝が行われるようだ。
 階段を登って時計台の上へ行くことができた。機械仕掛けの時計の装置がゆっくりと動いている。天井を見上げると、 対になった鐘がある。これも時計と連動して鳴るのだろうか。


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Camera:Panasonic DMC-FX9,Canon EOS 10D

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