上海放浪記(コラム編)

上海四方山話その2

[まえがき] [上海放浪記]  [コラム1] コラム2


■ タクシー

バス、地下鉄に続いて第三の交通手段はタクシーです。上海市内はいたるところでタクシーが走っており、すぐに捕まえることができます。地下鉄と比べると料金は高いのですが、それでも初乗りは10元で、500mごとに1元が加算されます(たぶん)。上海はそれほど広くはないので、たいてい30元以内で済みます。乗車するときは、自動ドアなどないので、自分で開けて乗り込みます。一人で乗る場合は助手席に座る人もいるようですが、後ろでもどちらでもいいみたいです。上海の道路は自転車と車が同等に存在するので、車が自転車を追い抜くときは冷や汗ものです。また歩行者もスキあらば横断してくるし、中央線で立ち止まっている姿をよく見かけるので更に気が抜けません。


■ 順番

 中国人に順番という文字はありません。ホームで地下鉄を待っているとき、電車が入線すると人々は我先に扉近くに殺到します。そして扉が開くや、降車客を車両内に押し戻すがごとく、空席目指して突進します。日本では中高年のおばちゃんによく見られるこの光景は、中国では老若男女問わず見ることができます。デパートなどのレジも同様で、一応列はあるものの、わずかでも隙があろうものなら、行列を無視して商品をそそくさとレジの台の上に置いてしまいます。レジの小姐もこの不届きな客を注意することもなく、精算してしまうのでした。この「われ先」気質は中国人の特質のようです。いろいろな場面で見ることができます。


■ 交通ルール

 上海の車は右側通行です。諸外国の多くがこの方式なのでしょうが、日本人にとってはちょっと違和感があります。目の前の信号が赤でも右折はできるようです。そして、やたらクラクションを鳴らすのも上海の車の特質でしょう。渋滞の激しい道ではやたらとクラクションを鳴らして1mでも前進するよう催促します。このクラクションは日本のと比べてかなり音量が低く、多少愛嬌のある音になっています。
 上海の道路にはあまり横断歩道がありません。交通量に関わりなくどこでも渡ってしまいます。まず手前の車線の車が途切れると、中央線まで移動します。そしてその中央線で奥の車が途切れるまで待つのです。この光景は車に乗っているとヒヤヒヤものです。車が飛び交っている真ん中を歩行者が平気で歩いているのですから。事故がおきないのが不思議です。(実際どのくらい事故が起きているのかは未知数ですが)


■ 小姐

 小姐というのは、おねえさんのことです。上海語で「ショーチャ」、普通語で「シャオジエ」と発音します。中華料理を食べ終わって会計するときに、「ショーチャ、マイタン!」と言えば伝票を持ってきます。さて、上海の小姐ですが、みな背が高いのに驚かされます。だいたい162cm以上はあります。日本のように踵の高い靴を履く必要はありませんし、実際履いていません。茶髪もほとんど見かけることはないし、太った人もあまり見かけませんので、みな美人に見えます。准海路(ワイハイルー)のようなにぎやかなところはカップルも多く、人目をはばかることなくいちゃついています。これは昨今の日本と変わらないかな。


■ WTO

余談編
帰国後数日したニュースで中国のWTO入りが9月にも承認されそうとありました。15年前の申請から経済的な改革開放を進めた中国が世界的な通商ルールの枠組みに参画することは、日本にとっても影響は大でしょう。官僚主導で保護主義を進める日本は投資対象としては魅力がなくなりつつあります。このところ外国人投資家の日本株売りも加速しています。両国を比べた場合、投資対象(将来性)としては明らかに中国ということになります。経済的にもこれからの中国はますます目が離せなくなってきました。


■ デンノウ事情

 日本でもインターネット利用が爆発に増えているのと同様に、中国でも急速にその利用者は増えているようです。今週の週間ダイヤモンドによると2007年には世界中で中国語のホームページが一番見られるそうです。上海の町を歩いていると、ADSL工事のための車両が停まっているところを見かけました。また、ホテルの電話もADSLと共用しており、パソコンを持参していれば直接インターネットに繋ぐことができたのでした。(このことは事前に知らなかったのでパソコンはもっていきませんでした。)このように、上海のインフラも急速にインターネット対応が進んでいることがよく分かります。
 しかしながら、町を歩いていてパソコンショップのチラシを受け取ったのですが、上海のパソコンは決して安くはないのに驚きました。ほとんど日本の価格と変わりがありません。平均的な上海人にとってパソコンはまだまだ高嶺の花なのではないでしょうか。
電脳(デンノウ)=パソコン


■ 日立

 一応日立関連ですから日立のことは気になります。今回の放浪団の中にも日立営業が1人いました。彼によると昔の日立営業は(上海で)頑張っていたけど今はひどい、と嘆いております。なるほど、古い建物は日立のエレベーターなど多いのですが、最近の建物はほとんど三菱や不明(国産?)のメーカーです。今、上海の町は建設ラッシュです。昇降機メーカーなどはここで踏ん張らなければ利益は得られません。頑張ってほしいものです。
 街中の広告は外国企業が多いのですが、准海路の一角に日立の広告エリアがあります。家電の広告でinspire the hitachiとしっかり書いてありました。一般家庭で日立の洗濯機やテレビがどれくらい普及しているのか興味のあるところですが、今回の旅では知ることができませんでした。


■ 物価のギャップ

 上海は何でも安いというわけではありません。前回お話したスイカは1個1元しない10円くらいだといいましたが、テレビタワー(横浜で言うところのランドマークタワーの展望台)に上るための入場料は低いところで50元、最上階は100元します。日本円で800円もしくは1500円ということになります。横浜のランドマークタワーと変わりません。外人だから高いということはないと思います。これは地元の人にとってはとんでもなく高額なのではないでしょうか。スイカが100個買える値段です。日本でスイカが100個買える値段と言えば15万円くらいではないでしょうか。恐るべき高額です。
 展望台には幼稚園児と思われる孩子(こども)がたくさん来ていましたが、彼らは金持ちのぼんぼんなのでしょうか。ちなみにこのテレビタワーは上海観光の定番中の定番で、上海を訪れる内外の観光客は必ずここを訪れます。中国国内の観光客がここを訪れれば入場料の高さにびっくりするでしょうが、彼らは何十年も溜め込んだ貯金をはたいてきているのでしょうから、一世一代の贅沢になるのでしょう。ちなみにわれわれは少々ケチって50元のところまでしか上りませんでした。それでも230m程度の高さがあるようです。


■ 自販機

 上海にはほとんど自販機がありません。というか日本は自販機がありすぎるのかもしれません。上海に自販機がない理由は想像がつきます。人件費が安いので自販機は必要ない。お札がぼろぼろなので機械では認識不能。といったところでしょうか。今回上海で見かけた自販機は、地下鉄の券売機と空港で見かけたポカリスエット(だったと思う。しかも日本円しか使えない代物)くらいでした。