台北放浪2003


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【圓山大飯店】

 バスはホテルに向かう。ホテルは小高い丘の広い敷地にあり、外へ出かけるためには車が必要だ。真っ赤なロビーも広く、美術館のようにガラスのショーケースが通路の左右に並んでいる。中にはお宝が値札付きで展示している。
 部屋は5階で、バルコニーに出ると市内が一望できる。ハイウエイはひっきりなしに車が走り、町の灯りも多い。小型の三脚で夜景を撮ろうとしたが、うまく固定できずにぶれてしまった。部屋のテレビはNHKの衛星放送がしっかり受信できる。受信料を払っているのだろうかとよけいな心配をしつつも、台湾国内の番組を見るとニュースをやっていた。日本はこの時期、イラク開戦前情報のニュースであふれているが、ここ台湾ではそのようなニュースはやっていない。香港で起きた肺炎や国内の火事などを取り上げていた。
【3月17日(月)】
 翌朝、現地時間の6時くらいに目が覚める。ツアーの集合までの時間でホテルを散策することにする。ホテルの中庭に出て、建物を振り返るとあらためてその大きさを感じる。よほど下がらないと写真に収まりそうにない。ホテルは丘の上にあるので、外に出るには車道をけっこう歩かなければならない。近所の散策はあきらめ、中庭やロビーの中で写真を撮る。
 朝食はバスでおかゆ専門店に連れて行くという。市内のとある屋台街のようなところでバスを降り、ツアー一行がぞろぞろと一軒の小さな店に入っていく。店の名は「永和清粥大王」というところ。入り口でトレイを受け取り、数十種類のおかずから好きなものを取り、最後におかゆを受け取る。朝から10種類以上のおかずを食べられると言うことは、日本では考えられない。台湾ではこの手の店が多い。料金も300円程度だという。そんな台湾の街にも吉野家が何軒かあるが、料金設定がそのおかゆ店とほぼ同じである。客が入っているのだろうかと興味があったが、ツアーバスから覗いた限りは、ほとんど客は入っていなかった。いくら日本で格安の外食店でも、海外ではその競争力はないように思える。
 朝食を済ませ、周辺を散策する。いろいろな屋台が出ていて、色とりどりの果物や、肉のかたまりが並んでいる。そして屋台の切れ目にはコンビニがある。台北市内はやたらコンビニが多い。それもよく見慣れた、セブンイレブンやらファミリーマートなど。日本の資本だろうか。売ってる商品も、日本では見かけないが、日本語で書かれている。
 バスに乗り込み、ツアー一行は台湾北部の九ふんへ向かう。ほとんどなじみはないが、映画『悲情都市』のロケ地として有名らしい。1890年代に金鉱が発見され、しばらく栄えたが、その後廃れた。映画が公開されてからは観光地として多くの人が訪れるようになったようだ。観光地といっても特筆すべきものはなく、土産物屋が細い路地に続いているだけの感がある。

【九ふん】



 
 バスを降り、その九ふんの町を歩くのだが、ガイド曰く、「はぐれないように皆さん固まって歩きましょう」。みなぞろぞろと細い路地を進んでいく。ぞろぞろと歩くのはいいのだが、止まることをしないので、店の商品をゆっくり見る暇もない。台湾に入国してからお金を全く使っていないのだが、ここ九ふんでも使う暇がなかった。(あまり購買意欲をそそるものもなかったけど)
 九ふん滞在は1時間弱でバス停に戻る。ガイドが後から遅れてきたかと思ったら饅頭を買っていて、一行に振る舞ってくれた。あんこ入りと野菜入りでなかなか美味しい。やかんのお茶を紙コップで注いで回るのも中国らしかった。バスは再び市内へ向けて走り出した。
 次に連れて行かれたのが市内にある国営の土産物屋。120%日本人向けの店だ。台湾では多くの宝石がとれるが、それらを加工したものを中心に、お茶やら、お菓子類が売っている。ようやく台湾元を使う機会に恵まれ、お茶と檜の扇子(台湾は檜が有名らしい)、派手な色の巾着(お土産用)などを買う。台湾といえば、台湾バナナで、バナナチョコレートがお土産によいらしいが、高いので買わなかった。また、東方美人という烏龍茶もお土産によろしいそうだが、それも高いので買わなかった。台湾の烏龍茶は、雲南省のそれより良いらしいが、それは現地人の弁。
 国営ショップでは余裕の時間を過ごし、次は昼食で飲茶の店へ。
 飲茶の後は、今回の旅行のメインイベントの故宮博物院へ。故宮博物院といえば、日本国内でもその企画展には何度か行ったものでした。ちなみに故宮博物院というのは、ここ台湾だけにあるのではなく、もちろん中国本土の北京にもある。収蔵品はいずれも中国歴代皇帝のコレクションであるが、そのほとんどが台北の方の故宮博物院にある。そして台北の故宮博物院は、世界四大博物館のひとつとなっている。のこりの3つは、パリのルーブル、レニングラードのエルミタージュ、ニューヨークのメトロポリタン。

【故宮博物院】



 
 この博物院も広大な敷地の中にある。郊外の高台に位置し、まわりは高級住宅街となっている。博物院の建物の前には国民党の蒋介石さんの銅像が立っている。蒋介石さんの尽力により、紫禁城の宝物が戦火や文化大革命の被害から逃れ、ここ台湾の地へやって来たそうである。入場料は100元であるが、ツアー料金に含まれているので、ガイドからチケットを受け取り中へとはいる。一階の広いロビーと売店、世界年表資料室、2階からが主要な展示室となっている。3階では一部で日本の蒔絵が特別展示されていた。
 以前の展示室は全面撮影禁止だったようだが、今は撮影禁止マークがないところは写真撮影ができるようになっている。もちろん撮影可能でもストロボは禁止。今回印象的だったのは、翠玉白菜。翡翠でできた白菜の上にキリギリスがとまっている。ガイドブックにはたいてい登場するもので、思ったより大きい。そして微細技術を使った彫刻品。象牙や檜をくり抜いて、船やら人々の姿を模している。普通に見てもわからないので、虫眼鏡越しに見ることになる。
 院内の展示物は一部の常設品を除き3ヶ月ごとに入れ替わる。収蔵品は莫大なため全てを見ようとすると8年間かかるそうだ。日本国内のガイドブックで、この作品を見たいと思っても、入れ替わっていることもある。しかも1フロアは広くいくつもの部屋に分かれているので見落としの可能性もある。いずれにしても一回の訪問で、故宮博物院の全てを見ることはできない。今回の見学時間は3時間あったが、体力的にはこれが限界だろう。あと何度か訪れたいものである。

Camera:CANON Power Shot G2,SONY U10

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