この時期、丹沢の貴婦人と言われる「サガミジョウロウホトトギス」が見頃だという。一般ルトートではなく、沢沿いに見られるというので、沢登りを兼ねての山行となった。
渋沢駅に集まった仲間は4人。大倉行きのバスを待った。当初バス停には他に登山者が見られず、何かの間違いかと思ったが、バス時間直前の下り電車が到着するとわんさかとやってきた。最近はネットで連絡の良いダイヤを確認できるのでギリギリで来るのが普通なのだろうか。バスは出発する頃には満員となった。
大倉のバス停からはいつもは大倉尾根目指して歩くのだが、今回は県立秦野戸川公園の中を通り抜けていくことになる。ビジターセンターの前では警察も出てきて入山届けの提出を指導しているようだ。
【風の吊り橋】
大倉のバス停から県立秦野戸川公園の「風の吊り橋」を渡る。
水無川の対岸に渡り、戸川林道をひたすら歩く。この林道が長く、1時間以上歩くことになる。駐車場もあるので車で来ても良かった。しかし、下山道がヤビツ峠になるか、大倉になるかはっきりとは決まっていなかった。
今回は途中まで、伊達さんら3人組と一緒に歩いた。山の花に詳しく、道ばたに咲いている花の名前を次々に言い当てていくが、なかなか覚えきれない。
【龍神の泉】
戸川林道の途中にある。車で来られる名水には必ずポリタンクに水を詰める人がいるが、この日もそうだった。一口だけ飲んで、林道歩きを続けた。
この泉の西に雨乞嶽があり、竜神を祀っていたそうだ。また標高520mの山腹に竜の形をした岩があり、コンコンと清水がわき出していたので、竜神の水と呼ばれたという。
林道歩きが1時間半ほど続き、終点の戸沢山荘に到着する。広場が駐車場になっており、すでに多くの車が止まっていた。
書策新道の入口右手の沢に入る。前方に堰堤が見えてきて左手には岩に鎖がかかっている。以前は堰堤を左に巻いたようだが、土砂の流入のためか、堰堤は直接越えることができる。その堰堤を越えたところで沢の装備(沢靴)に換えた。
【ダムを越える】
堰堤は左の方から越えることができる。3mほどの壁の上からザイルが伸びているのでアブミのように足をかけて登る。
ゴロタの滝を越え、本谷F1(10m)がある。このあたりから白いプレートの標識があり、場所が分かるようになっている。本谷F1は滝の左手に鎖がありそれを利用して直登する。
【本谷F1】
左に鎖がかけられているのでゴボウで登っていく。
続いて沢が左右に分かれる。左手が水無川本谷、右手がセドの沢となるので、右手に進む。F1(5m)、F2(6m)を越える。
再び沢が左又と右又に分かれる。左の左又を進む。プレートの標識があるのはここまでだった。
左又に入り、連続する小滝を越え、大滝の下に出る。大滝手前のチョックストンも登りづらく、ずぶ濡れになる。
F5の13m大滝。難易度の高い滝で、通常は巻くのだが、鶴岡さんがトップで登るというので、ザイルを出してリードしてもらう。
【大滝F5】
今回一番の難所。鶴岡さんにリードで登ってもらい、Chifuさん、大山さんがトップロープで続き、最後に自分が登った。岩にはいくつかハーケンが打ってあった。
この写真のみ携帯で撮った。滝下はしぶきがかかり、防水の携帯を使った。
大滝を越えるともう難しいところはなく、川岸の花を眺めながら上流へと登っていく。
【白竜の滝】
7m。左手に見て右に巻いていく。
白竜の滝を越えて足場の悪いところを登っていくと、書策新道と合流する。書策新道を歩いてきた別の仲間とも合流するが、しばしの合流。昼食のためしばらく休憩。
再び沢を登り始めるが、やがて水流はなくなり、涸れ沢となる。10m涸れ滝を登ると、滝上で一人の登山者が座っていたので、どきっとした。今回、沢で人を見るのはこれが初めてだった。一人で気軽に登ってきたて、滝上からの眺望を眺めながら休んでいたようだ。ここで靴を登山靴に履き替え、彼と一緒になって表尾根まで登った。
表尾根は、木ノ又小屋と新大日の中間あたりに出たようだ。新大日方面に向かった先の登山者と別れ、我々は木ノ又小屋方面へ向かった。
【木ノ又小屋】
小屋の前には「元気のでる珈琲!!」の幟が立っている。小屋の前で早速、その珈琲を賞味した。(300円)
木ノ又小屋の前のベンチで珈琲をすすりながらしばらく歓談していたが、この日はこのあと所用があったため、一足早く降りることにした。皆は書策新道を降りるようだが、林道歩きが長いので、塔ノ岳経由で大倉尾根を下る事にした。
塔ノ岳までは登りとなるが、それほど急な登りがあるわけではなく、楽に歩くことができた。
【塔ノ岳頂上】
塔ノ岳頂上(1491m)では休憩することなく、そのまま大倉尾根を下っていく。
【大倉尾根を下る】
塔ノ岳から下り始めると登山道のすぐ側で、シカが草を食べていた。丹沢でシカを見ること自体は珍しいことではないが、立派な角を持ったシカである。襲われたらただでは済みそうにない。
先ほどから雲行きが怪しくなって来ていたので、雨は降るだろうと思っていたが、ついに降り出した。合羽を取り出すのが面倒で、傘を差して歩いた。これまで山での傘は邪道だと思っていたが、傘の下山もなかなか快適である。合羽を着ると雨よりも汗で濡れることが多いので、暑い時期は合羽は着たくない。雨は10分ほどであがったので、傘なら収納も簡単だ。
塔ノ岳から大倉までの下りはコースタイムで2時間20分のところを1時間40分ほどで歩いた。大倉ではちょうどバスが止まっていたので、スムーズに渋沢駅まで移動することができた。
累積標高(+)1,989m
累積標高(-)-1,980m
《登山道の花》
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【ツユクサ】
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【イヌタデ】
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【ヨウシュヤマゴボウ】
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【ノコンギク】
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【サガミジョウロウホトトギス】
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【ハンカイシオガマ】
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【イワシャジン】
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【サガミジョウロウホトトギス】
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【ホトトギス】
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