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日本百名山

悪沢岳・赤石岳

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【7月15日(二日目)】

コース(タイム)

千枚小屋(5:05)−(6:20)千枚岳−丸山−(7:38)悪沢岳−(9:10)中岳−(12:45)赤石岳−(15:05)赤石小屋

 山小屋の朝は早い、というよりも夜も明けぬ3時頃からまわりではごそごそと活動が始まる。4時に起きるつもりであったが、すっかり目が覚めてしまった。前日は6時くらいから寝始めているので、睡眠自体は十分である。薄明が始まる頃、外に出ると天気は晴れていて、山小屋正面の富士山がシルエットではっきりと見えている。外のテーブルで食事の準備をはじめた。食事といってもいい加減なもので、レトルトカレーとカップラーメンである。食事をしながら、日の出の時間を迎え、富士山の写真を何枚も撮った。
 5時過ぎに千枚小屋を出発。昨日の疲れもなく、体調は万全。しかしいきなりの上り坂ですぐに息が切れる。標高は2500mを越えているので多少空気は薄いはずで、それのせいだと納得する。
 二軒小屋からの道と合流し、道は土から砂礫へと変わる。すでに景色は感動的に素晴らしく、道ばたの花々と共に写真を撮りまくる。千枚岳まで10分の道標を越えると赤石岳が見えてくる。その沢筋は白く、まだ雪渓が残っているのがわかる。今日中にあの山頂を越えることになるのだが、ずいぶんと遠くに感じる。
 千枚岳(2880m)に到着。山頂は岩場で360度の大展望が広がる。パノラマ写真を撮った。

photo 192*128 【千枚岳山頂】

 今回の縦走で最初のピーク、2880m。天気は予報に反し晴れ渡り、素晴らしい眺望が広がっている。6:24

 長い稜線歩きをする時はイヤホンでAMラジオを聞くことにしている。この日もNHKを聞いていた。日常生活でAMラジオを聞くことはまずないのだが、山で聞く番組もなかなか味があって良い。首都圏では連休初日の為、各地で渋滞していたり、また気温も朝早くから30度を超えているようだ。そんな渋滞や暑さも、ここでは無縁で、快適な別世界にいる。そして、今日は何の日というコーナーでは、1888年のこの日、磐梯山が大爆発を起こしたらしい。小磐梯山の山頂を含む北側が崩壊し、その際発生した岩屑なだれで大被害を生じたのである。
 ラジオを聞いていると登りもそれほど苦ではなくなり、時間も意外と早く過ぎる。丸山のピーク(3032m)に到着し、パノラマ写真を撮る。
 パノラマを撮る際に必要なことは、天気が良いことは言うまでもないが、まわりに人がいないことも大事である。幸いこの丸山では誰もいなかったので、急いで写真を撮った。後ろからは、パーティーが近づいていたのである。


 【丸山からの眺望】
 見える山を紹介すると、富士山を基準に右に、富士山、笊ヶ岳、真冨士山、上河内岳、聖岳、赤石岳、悪沢岳、木曽駒ヶ岳、塩見岳、甲斐駒ヶ岳、間ノ岳、農鳥岳、地蔵岳、小川山、金峰山、櫛形山。地蔵岳のオベリスクもはっきりと見えていた。7:21
 丸山から下り、悪沢岳へ向かう。目の前の岩山に向かって道が続いているのが見える。コルから登り返し、ふと振り返ると、丸山の山頂がほんとうに丸くなっているのがわかる。うまく名付けられたものだと感心する。
 悪沢岳(東岳)に到着。岩場の山頂では多くの人が休んでいる。標高は3141m、日本国内で、6番目に高いピークだ。

photo 192*128 【荒川東岳】

東岳(悪沢岳)3141m 8:05

 荒川中岳避難小屋を通過し、中岳(魚無河内岳)3083.2mに至る。中岳は東岳に続き荒川三山の二峰目。三峰目は前岳(3068m)だが、コースはその手前を巻き、そのままトラバースする。
photo 192*128 【お花畑】

 稜線上の岩場やハイマツ帯には様々な高山植物が咲いている。

photo 192*128 【前岳のコル手前】

 ハイマツの稜線を気持ちよく歩く。

 前岳のコルからはトラバースになる。眼下には赤い屋根の荒川小屋が見えている。
photo 192*128 【荒川小屋と赤石岳】

 持っていたエアリアマップは古いのか、荒川小屋は素泊まりのみとなっている。しかし現在は寝食が可能。営業:7月14日〜9月24日、100名収容、1泊2食付(寝具込)7,500円、素泊まり(寝具込)4,500円、テン場:30張、600円
10:39

 荒川小屋に到着。赤石岳の登りを前にここで休憩する。小屋では缶飲料を売っており、コーラを求めたが、缶はなくペットボトル(500ml、500円)だった。この場では飲みきれないので、この先連れて行くことにした。
 赤石岳に向かって下りが続き、砂礫地の大聖寺平からようやく登りとなる。小赤石岳手前の稜線上で登山道の真ん中にライチョウがいた。相変わらずライチョウは人間が近づいても逃げない。しかし、さすがにその間が3メートルほどになると登山道脇の方へ逃げていった。それでも4mほど離れてたたずんでいる。よく見ると、雛が4羽ほど周りにいる。1羽は親からかなり離れたところにいるが、親鳥はクークー鳴いているのでそれで位置関係がわかるのだろう。暫く親子のライチョウを観察していたが、いつまでも逃げないのでこちらが根負けして先に進んだ。

photo 192*128 【ライチョウ】(雷鳥:キジ目ライチョウ亜科の鳥)

 中部地方などの2500m以上の高山地帯に住む。二百万年前の氷河期からの遺存種。生息数は約3,000羽と言われているが、白山、中央アルプス、八ヶ岳、蓼科山では絶滅したと考えられている。国の特別天然記念物。絶滅危惧種。ライチョウに関する最古の文献は白山についての「夫木和歌抄」(1200年)。古代山岳信仰と結びつき、古来より保護され親しまれている。

 小赤石岳(3081m)に到着。小休止のあと出発。赤石岳はガスに覆われほとんど見えない。稜線上で再びライチョウを見かける。ライチョウには縄張りがあるので、先ほどの親子の片割れだろうか。こちらは近づくと尾羽を振ってホコリのようなものをまき散らして逃げていった。
 ここまで天気も良く、調子に乗って写真を撮りまくっていたため、いつの間にかメモリーがいっぱいになっていた。急遽、出来の悪い写真を削除し、さらに撮影解像度を下げることで、残りの行程で写真を撮れるようにした。
 小赤石岳を下りきったところが赤石コル。ここで荷物をデポして赤石岳をピストンすることになる。雨が降りそうで気になったが、ザックカバーをつけずに赤石岳に向かった。
 眺望のないガスの中を15分も登ると、誰もいない赤石岳の山頂に到達する。山頂の道標の文字はなぜか朱書きである。すぐ横には一等三角点がある。

photo 192*128 【赤石岳山頂】

 赤石岳標高3120.1m。いうまでもなく赤石山脈の主峰のピーク。明治22年に一等三角点が立てられている。当時から講中登山が行われていたという。

 赤石岳の先は聖岳に続いている。ガスの切れ目でその先のコルに赤石岳避難小屋が見える。風が出てきて、天気が下り坂のようだ。山頂では長居をせずに赤石コルへ戻った。下りながら多くの人とすれ違う。皆同じ送迎バスの乗客だ。

【登山道の花】
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 【ハクサンイチゲ】
 【ミヤマシオガマ】
 【ミヤマオダマキ】
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 【イワウメ】
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 【ツガザクラ】
 【ショウジョウバカマ】
 【チングルマ】
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 【クロユリ】
 【ミヤマキンバイ】


Camera:Panasonic DMC-FX9,Canon EOS 10D

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