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霞沢岳-日本二百名山 霞沢岳-日本二百名山 アップダウンの連続、大展望が疲れを癒す アップダウンの連続、大展望が疲れを癒す 【山頂から穂高連峰を一望】
コース(タイム)
1日目 上高地BT(07:08)-河童橋-(07:55)明神館-(09:51)徳本峠(10:28)-(11:20)ジャンクションピーク-(13:13)K1ピーク-(13:49)霞沢岳(14:02)ーK1ピーク-(17:02)徳本峠泊
《山概略》
《徳本峠へ》 久しぶりの上高地である。バスを降りるなり河童橋の方へ歩き始める。平日の早朝だが登山者や観光客はそれなりに来ている。河童橋に向かってスーツケースをごろごろと引きずっているのはたいてい中国人だ。バス停には手荷物預かり所など無いのだろうか。5分ほど歩くと河童橋に到着する。天気は上々で、橋から見える穂高岳連峰は相変わらず素晴らしい。 河童橋から梓川に沿った道を奥の方へと歩いていく。小梨平というキャンプ場もある林の中を通り抜けていく。しばらく平地が続くのでウォーミングアップにはちょうど良い。今回の装備は、買ったばかりのテント(とレックライズ1)とザック(オスプレーイーサー60)で、総重量は13kg程度である。テント泊で山に行くのは久しぶりである。 しばらく歩くと左手に梓川が見え、そして明神岳の岩峰も見えてくる。山肌の緑は紅葉ではないが、この時期は涸沢の紅葉は終わりで、上高地の紅葉のピークはまだという中途半端な時期のようだ。明神岳展望所から少し歩くと正面に二階建ての立派な明神館が見えてくる。ここは休憩地となっていて多くの人が休んでいる。バス停から約一時間の所なので重荷を背負った登山者にはちょうど休みたいところである。 明神館から明神橋の方へ行き、明神池を散策しようと思ったが、思ったほど近くではなかったので引き返した。何度も来ているがすっかり距離感を忘れている。明神館まで戻り先へ進んだ。
明神館から徳本峠分岐まですぐである。ぼやっとしてたら通り過ぎてしまいそうな場所だが、一応指導標はある。明神登山口と書かれているが、明神岳の登山口というわけではなく、この場所が明神と言うことだろう。ぱっと見勘違いしそうである。ほとんどの人はここをまっすぐ通り過ぎ、徳沢の方へ向かっていくが、流れに逆らい右に曲がって林道を進んでいく。 急に人の気配が無くなり孤立無援の状態で道を進んでいく。笹薮から熊が出てきそうな雰囲気だが気にしてても仕方がないので足早に進む。徳本峠まで2.9kmの指導標を通り過ぎ、長い直進コースを進む。このあたりはまだ上り坂ではない。沢に架かる橋を一本渡り、道は登りへと変わる。黒沢の谷間を稜線まで登るようだ。小さい沢を何度か徒渉し、つづらの道で高度を稼いでいく。調子が良いのか、それほどきつい登りではない。背後には穂高の姿が見えている。河童橋から二時間半ほどで徳本峠に到着する。
徳本峠のテン場にはテントがほとんど張られていなかった。好きなところに張ることができるので、明神が正面に見える場所にテントを設営した。一人のんびりタバコを吹かしている人がいて、今日はゆっくりですねと声をかけたら、小屋の従業員だった。これから霞沢岳に行くと言ったら、明るいうちに戻って来られない、と言われた。時間は10時である。あと7時間で日没だが、自分としては空身なので行けるつもりである。もちろん暗くなっても大丈夫な装備は準備している。 《霞沢岳へ》 テントを速攻で設営し、コンビニ弁当を昼食にする。標高2,100mを超えた場所で空気がひんやりするが、小春日和でそれほど寒くはない。歩いているうちは薄着でも良いくらいだ。食事を終えると荷物はテントの中へ放り込み、サブザックには最低限の装備をつっこんで霞沢岳を目指す。先ほど登ってきた道を少し戻り、明神との分岐を霞沢岳方面へ進んだ。 分岐からは登り返しで、白い石を敷き詰めたような細い道を登っていく。ひと登りすると正面が崖っぷちで南東方面の展望が開ける。標高2,428mのジャンクションピークである。あまり時間がないので写真だけ撮って、休憩せずに先へと進む。
ジャンクションピークからは下り坂になる。この下りが結構長く続き、下った分登り返さなければならないと思うと気が重くなる。早く登りになってほしいと思うが、樹林帯の中をどんどん下がっていく。進んでいく間に、下山してくる人と次々とすれ違う。ほとんど年配のメンバーでこの山域に来るだけにベテランなのだろう。平日でもけっこう人が入っているものである。彼らとは4時間くらい時間差があり、この日自分が一番遅く山頂に到着するのではなだろうか。
標高2567mのK1ピークに到着する。眺めが良く遮るもののない360度の展望地点である。霞沢岳方面には三つのピークが見える。どれが目的の山頂だろうか。まさか一番奥で遠いのがそうだろうか。いずれにせよまだ先は長い。この分だと明るいうちに戻れないかもしれないと弱気になり、引き返そうかと一瞬思ったが、こんな条件の良い日も滅多にないので進むことにする。 K1ピークからは当然の下り道である。とにかくアップダウンの多い山である。一方通行ならまだましだが、これを戻ってこなければならないのが辛いところである。徳本峠と霞沢岳の標高差は500mほどだが、登山での累積標高は優に1,000mを超えるだろう。(この日の累積標高は上高地から2,000mを超えることになる)
K1の次はK2のピークがあるはずだが、気がつかないうちに通過したようだ。もう下山してくる人もいない中、黙々と進んでいくと霞沢岳と書かれた道標がある。まだ先は長いと思いつつも、あっけなく霞沢岳山頂(2645.8m)へ到達していた。山頂はハイマツに覆われているものの、360度の大展望である。天気が良く、空も青いので最高の眺望である。まわりの山々は名山ばかりである。日本百名山だけでも、焼岳、笠ヶ岳、奥穂高岳、常念岳、御嶽山、乗鞍岳、と六つ確認できる。特に正面に見える穂高や明神、その稜線から滑り落ちるように続く岳沢の谷間がよく見える。沢の真ん中には小さな岳沢ヒュッテの赤い建物が見える。
山頂での眺望を堪能し、下山に取りかかる。歩いてきた道を戻るので、登りよりも気が楽である。アップダウンがあるのはそれほど気にならなかった。自分がこの日最後の登山者だと思っていたが、1時間ほど下山したところで一人の若者がダブルストックで登ってきた。山頂でビバークするのかと思って声をかけると日帰りだという。確かに装備は軽装で、ザックは僕と同じオスプレーの天蓋部分を腰に付けていた。徳本峠に着く頃は真っ暗だろうが、無事に着いたのだろうか。
下山しながらも影が長くなり、日が沈んでいくのが分かる。徳本峠までもう少しと言うところの笹原で、来たときには通っていない徳本峠を示す指導標があり、その道を進んでみた。すると、テン場の裏手にでて多少のショートカットをして峠に到着した。無事に明るいうちに戻って来ることができた。テン場から見る穂高連峰は夕日を浴びて赤く染まっていた。 日が落ちてくると気温も急速に下がり、テントの中に入って休むと、もう外には出たくなくなり、そのまま夕食を食べて寝てしまった。夜は冷え込み、防寒が十分ではなかったのか、あまり寝付けず寒い夜を過ごした。新しいテントは軽量となったが、生地が薄くなった分、寒さには弱くなっていたのも要因だろう。
徳本峠の朝。昨日のうちに霞沢岳へ行っておいたので、この日は下山するだけである。ゆっくり帰っても良いが、渋滞を避けるためできるだけ早く帰ることにする。ある程度日が出てテントが乾いた頃に、テントを撤収して徳本峠を降りていく。車を沢渡に置いてなければ島々の方へ降りても良いのだが、上高地の方へ降りていく。ザックは水分が減って、かなり軽くなっている。快適に下って明神館まで行く。この日も風がほとんど無いので、明神池で湖面に映った明神岳でも撮りに行こうと考えていた。明神館から明神岳の方へ進み、明神橋を渡る。砂利道を左の方へ進むと、右手に明神池の入り口がある。 嘉門次小屋の前を通り、鳥居をくぐる。明神池は穂高神社奥宮で、入るには拝観料が必要である。300円を払って中に入ると正面に池があり、見上げると明神岳がそびえている。予想通り、風がないので水面は鏡のように明神岳を映し出している。場所を変えながら写真を撮った。このあたりは緑が多く、紅葉にはならない針葉樹が多いようだ。
明神池からは梓川の右岸を歩いて上高地バスセンターへ向かった。右岸の方が霞沢岳を望むことができるからだ。望むと行っても霞沢岳は奥の方にあるので直接見ることはできない。手前の六百山を見ることができる。この山は道がないので登ることはできないが、霞沢岳とはK1から峰続きになっている。 バスターミナルには9:30に到着。沢渡行きのバスは30分おきに出ているのであまり時間を気にする必要は無い。登山アンケートに捕まってしまったが、それに回答してからバスを待った。まだ朝早いのでそれほど乗客はおらず、ザックを座席において車を駐めてある沢渡まで戻った。 帰りがけによる温泉は、いつもの竜島温泉せせらぎの湯である。レストランも併設しているので便利だ。湯に入って、食するのは山賊焼き定職(880円)である。汗を落として、腹も太って、眠くなりながらも高速を走り、たいした渋滞にも遭わずに自宅へ帰った。夜行一泊二日の効率の良い充実した山行だった。
Camera:CANON EOS 6D
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