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桃洞沢・赤水沢−東北の沢

桃洞沢・赤水沢−東北の沢

ひたすらナメ、滝もポイント

ひたすらナメ、滝もポイント

【桃洞滝---この形は...】

桃洞滝---この形は...

山行情報
日程 2010年08月09日(日)
山名(山域) 桃洞沢・赤水沢(東北)
入/下山地 野生鳥獣センター
メンバー 大山、勝野、福島
行動時間 8時間40分
歩行
距離
登り
下り
歩数
16.5km 850m 850m ----歩
280x158

コース(タイム)

鳥獣センター(6:19)−(6:54)桃洞・赤水分岐−(7:41)桃洞滝−(9:52)峠−(11:53)兎滝(12:28)−(15:00)鳥獣センター

 《山概略》
 森吉山の東を流れるノロ沢の支流に桃洞沢と赤水沢がある。ナメが続くこの両沢は、遡行して下降することで周回できるという珍しい沢である。関東までその名が聞こえるからには有名な沢なのだろう。ネット上にはいくつも記録があるが、書籍でそのコースを紹介しているものは少なく、図書館で入手した『日本の渓谷'98/'99』に紹介されているのをようやく見つけた。

 《アプローチ編》
 ベースは奥森吉県立自然公園の親子キャンプ場となる。前日に白神岳を登り、その足でこの親子キャンプ場へ来ていた。親子キャンプ場と言っても、携帯の電波も入らない山奥にあるため利用者は多くない。我々が到着したときは、広大なキャンプサイトに二組だけテントが張られていた。
 親子キャンプ場は利用料が無料で、管理棟で届けを出すことで利用できる。その際、水道の蛇口の取っ手を貸与される。サイトにはトイレや炊事場も完備され、炊事場の蛇口には取っ手がないので借りたものを利用する。水は沢から引いたもので、飲まない方が良いらしい。トイレは人が近づくと電気が点くというハイテクである。設備は総じて新しく綺麗である。実に快適なキャンプ場ではあるが、唯一の欠点は、この時期ブヨや蚊が多く、車や人に襲ってくることである。駐まっている車にコツンコツンと体当たりしてくる様はまさにホラー映画である。
 キャンプ場で朝を迎え、軽く朝食を済ませてから車で入山口である鳥獣保護センターへ向かった。


野生鳥獣センター裏手の入口
【野生鳥獣センター裏手の入口】
   沢の入口まで原生林が続く
【沢の入口まで原生林が続く】

 《桃洞沢へ》
 森吉山野生鳥獣センターは、森吉山の貴重な野生鳥獣とその生態環境を保全するために作られている。国の施設として作られているので、あまりにも立派だ。その広い駐車場に車を止めたが他に車は駐まっておらず、鳥獣保護センターも人の気配がない。ともあれ入山準備をして桃洞渓谷散策コースへ向かった。
 密林の遊歩道はブナの木などが生い茂り、熊が現れてもおかしくない場所である。しかしそれより、アブや蚊が果敢にも追いかけてくるので、歩みを止めないように進まなければならない。防虫スプレーも噴霧しまくりである。
 割沢森・森吉山分岐は左手の桃洞の滝・玉川方面へ進む。旧ヤチダモ遺伝子保存林の看板。どの木がヤチダモか分からない。鳥獣センターから30分ほどで桃洞・赤水分岐に到着。左手に桃洞沢を見ながら引き続き遊歩道を歩く。

桃洞・赤水分岐
【桃洞・赤水分岐】
   桃洞沢遊歩道
【桃洞沢遊歩道】

 遊歩道がナメ沢のヘリを歩くようになり、丸太の輪切りが並ぶ渡渉地点で入渓準備をする。
 川幅10mほどで推進は10cmもない穏やかな水の流れの中を進んでいく。桃洞沢全体が一枚岩のように、そのナメが続く。時々ツボのように深い穴があり、そこに落ち込まないように気をつけなければならない。沢の深いところでは岩魚が泳いでいるのが見える。突然、水面を漂う白く丸い円形物体が現れた。直径は60cmほどで洗剤の泡のようだ。自然にできたもののようだが、沢に何か流れ込んでいるのだろうか。
【謎の浮遊物体】
 目の前に大きな滝が見えてくる。桃洞滝と呼ばれるように見事に桃の形をしている。右側の岩にステップが刻まれているので、そこをたどって滝の上に出ることができる。手がかりがあまりないので緊張するところである。

桃洞滝
【桃洞滝】
   桃洞滝を登る
【桃洞滝を登る】

 桃洞滝の上からは再び穏やかなナメの流れが続く。両岸を見上げると天然の秋田杉が林立していて、我々を見下ろしているようだ。
 2段10mの滝を通過、本流が合流する出合いを左へ進む。本流の方も段になった滝が見える。

ナメと小滝
【ナメと小滝】
   二股は左へ
【二股は左へ】

 本流出合いの先の滝は、今回最も緊張する登りとなった。右の方から登り、左へ平行移動して滝の上に出るのだが、手がかりが少なく岩ももろい。ハーケンが打ってあったのでザイルを出しても良かったところであるが、フリーで登り切った。

密林とナメ
【密林とナメ】
   上流に行くほど倒木が多い
【上流に行くほど倒木が多い】

 水量が少なくなり、沢の分岐でどちらに行くか分からなくなるが、GPSで確認したり赤テープを探したりして前進する。峠付近はヤブになり、道無き道を進むがそれほど長い距離ではなく、すぐに沢の流れが見えてくる。沢はすでに右の方から流れていて、幅はすでに1mを越えている。

沢の流れが途切れる
【沢の流れが途切れる】
   峠付近はヤブ
【峠付近はヤブ】


 《赤水沢下降》
 沢を下降するのは今回が初めてである。登りと違って下りの場合はちょっとした滝でも慎重に進まなければならないので、ザイルを出すことが多くなる。幸い滝の上には残置シュリンゲがあるので、それを利用して懸垂下降を行う。赤水沢では4回ほどそれを行った。
赤水沢に出る
【赤水沢に出る】
   最初の懸垂下降
【最初の懸垂下降】

滝の下には深い釜
【滝の下には深い釜】
  
【ザイルを使ってトラバース状に下降】

兎滝
   【兎滝】

 赤水沢下降のクライマックスが兎滝40mである。ここはロープを出して慎重に下らなければならないが、45mロープでは足りないので、大山さんの20m?ロープをつないで懸垂下降する。


小滝を振り返る
【小滝を振り返る】
   桃洞・赤水分岐は近い
【桃洞・赤水分岐は近い】

 ノロ本流と合流するとザイルを必要とする大きな滝はなくなり、ナメ沢の穏やかな流れが続く。このあたりは遊歩道もあるようだが水の中を歩くのだろうか。兎滝を指し示す指導標を見かけた。
 あまり位置感覚もなく極楽の沢を歩いていると、いつの間にか上記写真の【桃洞・赤水分岐】へたどり着いた。二つの沢をぐるりと一周回りきったことになる。
 ベンチに腰掛け沢靴から登山靴に履き替えるのだが、ここでもひと苦労する。手ぐすね引いて待っていたかのように蚊が集まりだし攻撃を仕掛けてくるのである。もはやディート2.6%の虫除けスプレーは効果が無く昨日から手足を数十ヶ所も刺されている。手早く履き替え、鳥獣センターまで来た道を戻った。歩いている間は蚊の被害は少ない。
 鳥獣センターにたどり着くと、この日初めて人と会うことになる。センターの管理人が出てきて我々に声をかけてきた。流ちょうな秋田弁で、この日鳥獣センターの訪問客は午前中にひと組だけだったそうだ。

《登山道の花》
オオバギボウシ オオバギボウシ ダイモンジソウ
 【1.オオバギボウシ】
 【2.オオバギボウシ】
 【3.ダイモンジソウ】
シモツケ フキ
 【4.シモツケ】
 【5.フキ】

付近の山 森吉山(2010.08.10)、八幡平(2000.09.28)、岩手山(2006.08.10

白神岳編桃洞沢・赤水沢編森吉山編秋田駒ヶ岳編
Camera:SONY DSC-WX1

NOYAMA
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